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「らしさ」という言葉の両面/「学童期・思春期メッセージ」第19回編集会議開催報告

2025年3月31日

コンテンツチームの荻原です。

きずなメールは「テキストでつながり続けるセーフティネット」です。2025年3月28日現在、6万373人の読者の方とつながり続けています。

より長くつながりつづけるために現在、18歳までの「学童期・思春期メッセージ」をブラッシュアップするための編集会議を、オンラインで月1回、開催しています。
第19回の3月11日は、5名の医師と、5名のきずなメールスタッフが参加しました。

この学童期思春期メッセージは、段階を踏んで育てていく原稿です。
現在、第2段階のアップデートが終了しています。
どのような内容が追加されたかは、第13回編集会議開催報告をご参照ください。

今回は、前回に引き続き子どものインターネット環境に関する原稿のほか、性の多様性についての原稿も検討を始めました。

 

【コンテンツ担当の思索録】「らしさ」という言葉の両面

性の多様性についての原稿を検討するにあたって、学びを深めるためにこちらの「まるっとまなぶっく」を読み、今回の会議にのぞみました。
https://marutto-woman.jp/product/

この冊子の中で私が印象的だったのが、大切なのは「男らしさや女らしさではなく、あなたがどんな自分でいたいか」、という言い方。

私達の現在の原稿案では、大切なのは「自分らしさ」。という言い方になっていました。

「自分らしさ」というのは確かによい言葉です。外から与えられる役割やイメージではなく、自分だけの「らしさ」を追求していい、ということは、ひとつの救助の言葉だと感じます。

その一方で、私自身が「自分らしいことを大事にしていいんだよ」と言われたときの気持ちをじっくり考えてみると、どこか窮屈な気持ちになる部分もあることに気づきます。

「自分らしいことを尊重されることは嬉しいけれど、自分らしくないこともやってみたい」。

「自分らしさ」を肯定されることは、「今のありのままの自分でいい」と言われている感じがしますが、自分自身は、もっと変わりたいと思っている部分もあります。
「自分の形」はいつまでも不確かなもので、自分にもわからないものだという反発心が、ほんの少しだけ湧くのです。

その点、「あなたがどんな自分でいたいか」という言い方は、少し未来の「自分の形」を暗示するような、理想と現実の間で迷っている、不確かな今も尊重されるようで、素直に受け止められると思いました。

「らしさ」という言葉は、なんとなく固定されるような言葉なのかもしれません。

 

また、編集会議の中でそれとは反対からの視点にも気づくことができました。
参加くださった医師の方がこのように言いました。

「男らしい自分が好き、ということもある。それもまた、尊重されるべきではないか」

なるほど、と思いました。固定された役割は悪い、イメージ通りの男らしさや女らしさはもう古い、という視点もまた、ある種の排他性を含んでいます。
「らしさ」を解体する過程で、「らしさ」を悪者にしてしまうのもまた少しずれていることなのだと気づかされました。
「らしくてもいい」「らしくなくてもいい」「らしさってなんだろう」のような柔軟な心持ちを忘れないでいることが大切なのかもしれません。

 

こういった複雑な性のあり様を前に、親は子に対してどのようなこと態度でいることが求められるのか。
引き続き、性の多様性についての理解を深め、原稿の検討を進めていきたいと思います。(了)

 

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