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「拡充原稿」第3回編集会議開催報告/コンテンツ担当の思索録

2023年11月22日

きずなメールは「テキストでつながり続けるセーフティネット」です。10月26日現在、5万2123人の読者とつながり続けています。

より長くつながりつづけるために現在、18歳までの「拡充原稿」をブラッシュアップするための編集会議を、オンラインで月1回、開催しています。

第3回の11月14日は6名の医師と、5名のきずなメールスタッフが出席しました。
今回は、前回の編集会議をもとに作った予防接種原稿の第一稿を見ながら、より適切な内容・表現、配信時期にメッセージが届けられるようさらに協議を進めました。

 

【コンテンツ担当の思索録】

予防接種原稿のあとには、思春期と呼ばれる年代のお子さんたちに向けた、原稿制作が控えています。
その資料として、監修の医師たちからもよく話題に上がっていたのが、保健の教科書。
小学校から高校にいたるまでの保健の教科書に目を通してみました。

保健の教科書にはお子さんたちが学校で、どんな言葉でどんなことを学んでいるのか、またこの年代にはどんなトピックが必要など、「育ち」の過程についても書かれており、学ぶことがたくさんありました。

そもそも「保健」とはなんだろう…。保健の授業は小学校3、4年生から始まり、高校まで続くのですが、3、4年生用の教科書に以下のようにありました。

「一生を通じて楽しく明るい生活を送る力を育てる学習」
(大日本図書「たのしい保健3、4年」より)

自分が学生の時は、五教科に比べると重要性が見いだせず、また体育の影に隠れ、マイナーな存在としてさほど力を入れて学ぼうと思ったことのなかった教科ですが、大人になり、自分も子どもを育てていく立場になってから接すると、なんていい教科だろう!と思いました。

心と体の健康、心身の育ちや性意識、生活習慣病や、飲酒や喫煙の悪影響、応急処置の方法などを学んでいきますが、「一生を通じて楽しく明るい生活を送るため」という視点からみると、どれもこれも結びついてきます。

思春期を乗り越えていくお子さんにとって、これはいい言い方なのではないか、親御さんとも配信原稿を通じてシェアして、お子さんを見守っていく力にできるのではないか、と感じたところがあったので挙げてみます。

■引用①
「何となく調子が悪い。」と思ったときは、心と体のどちらに原因があるのか、考えてみることも大切です。
大日本図書「たのしい保健5,6年」より

小学校高学年から高校生にいたるまでの間に「なんでもないのにイライラする」という感じる人は増えていく傾向にあるようです(平成26年文部科学省睡眠調査より)。
成長の過渡期で、そうなるのは仕方ない、と言ってしまうことはできますが、今まさに心をコントロールできずに苦しんでいるお子さんを前に「そういう時期だから仕方ない」と言い切ってしまうのは、ちょっと難しいこともあるのではないでしょうか。

年齢を重ねると、体も自分でメンテナンスする部分が多くなってきます。だけど若いうちは、体への意識は持ちづらいと思います。自分自身の若いころを思い出してみると、体は思うとおりに動いて当然だし、無理もきくし、回復も早かった。何か心が不安定になる時というのは、人間関係とか、成績だとか、精神的なことが原因だと感じていました。つまり、「不安だからおなかが痛い」という順だと思っていたわけです。
だけど実際には、体と心は深く結びついていて、「おなかが痛いから不安」ということもあります。自分の内面のせいではなく、外的な要因から調子が悪いこともある、という考え方をひとつもっていると、ほんの少し、荒ぶる心から距離を置ける。思いつめずに冷静でいられるような気がしました。

■引用②
この違い(性意識の個人差の違い)を理解しないでいると、自分勝手な思いこみで相手を傷つけたり、無理して相手にあわせたために自分が傷ついたりすることがあります。
大修館書店「最新 中学校保健体育」より

身体的成長や学力、心の発達の面でも、小学校中学年くらいから、どんどん「個人差」が広がってきます。
「人を傷つけてはいけない」ということは、色々な時期に、色々な場所で少しずつ身に付けている意識のように思いますが、それと並列して、「自分を傷つけてはいけない」という視点があることにはっとしました。
加えて「無理して相手にあわせたために」という言い方に、何かひっかかるものがありました。
たぶん、無理したのは「自分」であり、自分のせいで自分が傷つくことになる、というちょっと辛口なニュアンスを感じたからだと思います。

成長には個人差があるのだ、人それぞれなのだ、ということを理解しないと、自分が傷つくことになる。相手に無理して合わせたから、自分が傷つくことになる、というのは、両方とも「自分」の責任です。
「相手によって傷つけられる」のではなく、「自分の理解不足や無理のせいで自分で自分を傷つける」という視点が、自立を促すアプローチだと思いました。「他人のせいにしない」という、隠し味のスパイスを感じました。

思春期のお子さんを語る言葉はたくさんありますが、お子さんを見守る親御さんへ向けた言葉と言うのは、案外少ないと感じます。
それはどうしてなんだろう。家庭ごとの「個人差」が大きく、一括して言えることが少ないから、というのは大きな理由のひとつではないかと思います。そして、あえてそこに言葉をつくっていくことが、「拡充原稿」の大きなチャレンジなのだと感じました。(了)

過去のログ
「拡充原稿」第2回編集会議開催報告/コンテンツチームの思索録

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