子どものインターネット環境を取り巻く原稿/「学童期・思春期メッセージ」第17回編集会議開催報告
コンテンツチームの荻原です。
きずなメールは「テキストでつながり続けるセーフティネット」です。2024年12月20日現在、5万9159人の読者の方とつながり続けています。
より長くつながりつづけるために現在、18歳までの「学童期・思春期メッセージ」をブラッシュアップするための編集会議を、オンラインで月1回、開催しています。
第17回の1月14日は、6名の医師と、4名のきずなメールスタッフが参加しました。
この学童期思春期メッセージは、段階を踏んで育てていく原稿です。
現在、第2段階のアップデートが終了しています。
どのような内容が追加されたかは、第13回編集会議開催報告をご参照ください。
今回の会議は、SNS、スマホ、ネットに関する原稿についての見直しを行いました。
医師たちからのフィードバックを参考に、次回も引き続き、この内容を検討してまいります。
【コンテンツ担当の思索録】子どものインターネット環境を取り巻く原稿
今回の編集会議では、子どものインターネット環境を取り巻く原稿を見直しました。
まだまだブラッシュアップの最中ですが、学童期・思春期メッセージの「子どものインターネット利用に関する原稿」をどのように作成しているか、現時点の状況をお伝えしてみたいと思います。
①「生命の安全教育」の枠組みを使う
「生命の安全教育」とは、
“生命の尊さを学び、性暴力の根底にある誤った認識や行動、また、性暴力が及ぼす影響などを正しく理解した上で、生命を大切にする考えや、自分や相手、一人一人を尊重する態度等を発達段階に応じて身に付けることを目指すもの”
(文部科学省HPより引用)
として、文部科学省が提唱しているものです。
フェーズⅡの段階でも、この資料からの内容や視点をいくつか取り入れて来ました。
今回は特にインターネットに焦点を絞って、「『生命の安全教育』では、どの学年で、どんな内容を伝えているのか」という枠組みと、「学童期思春期メッセージの原稿がどれだけその枠組みに沿っているのか」を改めて見返しました。
生命の安全教育では中でもSNSについての指導内容が決まっており、小学校高学年~高校生年代にかけて、発達段階に応じた言葉で指導するということになっています。(生命の安全教育 https://www.mext.go.jp/a_menu/danjo/anzen/index2.html )
学童期思春期メッセージではどうなっているでしょう。
現在、子どものインターネット環境を取り巻く原稿は、以下のような内容となっています。
・小学校中学年の保護者へ向けて
「スマホ、ゲーム画面を見るときの注意点(視力への影響について)」
・小学校高学年の保護者へ向けて
「スマホを所有するにあたっての家庭でのルール決め」や「フィルタリング」「違法サイト、有害サイトから子どもをまもる」
・中学生の保護者へ向けて
「犯罪巻き込まれ防止」「ネットやゲームへののめりこみ」「生活習慣を整える」
・高校生年代の保護者へ向けて
「犯罪巻き込まれ防止」等
SNSについて、小学校高学年~高校生年代にかけて、必要な内容を発達段階に応じた言葉で伝えていく枠組みを、このメッセージでも踏襲していると言えそうです。
②「生徒指導提要」の内容を指標のひとつとして持つ
SNSに限らず「インターネット全般についての注意喚起」の内容を網羅するための指標のひとつとして、生徒指導提要を参照しています。
生徒指導提要とは、
“「生徒指導提要」とは、小学校段階から高等学校段階までの生徒指導の理論・考え方や実際の指導方法等について、時代の変化に即して網羅的にまとめ、生徒指導の実践に際し教職員間や学校間で共通理解を図り、組織的・体系的な取組を進めることができるよう、生徒指導に関する学校・教職員向けの基本書として作成したもの”
(文部科学省HPより引用)
https://www.mext.go.jp/content/20230220-mxt_jidou01-000024699-201-1.pdf
令和4年に、12年ぶりに改訂されたとのこと。
この第 11 章に「 インターネット・携帯電話に関わる問題 」という章があります。
「インターネット問題への組織的取組」の項目としてあげられているのが以下の4点です。
①ネットの匿名性
②ネットの拡散性
③ネットいじめ
④ネットの長時間利用
この4つの観点がきちんと入っているか、という視点で改めて確認してみました。
その結果、③ネットいじめに関する原稿は、フェーズⅡの配信では入っていないことがわかり、これから検討していくこととなりました。
こういった枠組みや方法の模索に加えて、
・現在、学童期思春期のお子さんを育てる方々の言葉や意見、感覚
・診察室で多くのお子さんやその親と向き合ってきた小児科医のアドバイス
などを取り入れながら、「学童期思春期メッセージ」としての「伝え方」「言葉」は完成に近づいていきます。
フェーズⅢ原稿は今年の秋完成予定となっております。
それまで、さらにもう一歩確かな配信となるよう、原稿を検討していきたいと思います。(了)
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