「父親も育児当事者」を進めると「ひとり親」から遠のくか/子育てにおけるGender equalityを促すマタニティきずなメールRP⑥
コンテンツチームの荻原です。
妊娠期の「マタニティきずなメール」と、子どもが生まれてからの「子育てきずなメール」で構成される私たちの「きずなメール事業」では、年に一度、原稿を最新の状態に保つためのリニューアル作業を行っています。
どちらのコンテンツも医師や管理栄養士による監修を受けており、監修の専門家によるファクトチェック、読者から届いた声の検討、また、妊娠出産、子育ては時代によって変化しますので、その変化などに対応しています。
今年は様々な条件が重なり、例年よりも規模を大きくし、新たな視点を追加して「マタニティきずなメール」のリニューアルを行うこととなりました。
この大規模なリニューアルを「マタニティきずなメールリニューアルプロジェクト」として、こちらで進捗状況を報告しています。
ブログのタイトルにある「マタニティきずなメールRP」とは、「マタニティきずなメールリニューアルプロジェクト」を指しています。
「父親も育児当事者に」を進めると「ひとり親」向けから遠のくか
原稿のリニューアルにあたって、この問いはずっと私の中にありました。
父親やパートナーに向けた言葉を多くしていけばいくほど、ひとり親世帯の方は「自分に向けたメッセージではない」と遠のいてしまうのではないかと。
自分の中で答えが出ないままよいバランスを探ってきましたが、先日、ある自治体の方からヒントをいただきました。
もしも父親がいたらこんなことがあるのだ、という「気づき」が多くなったらいい
その自治体の方は、これから父親支援に力を入れていきたいという思いを持っておられました。
その中で、
“「パパへ」「パートナーへ」を強く押し出すことで、「ひとり親」の方がどう感じるかということが懸念されますが、どうでしょうか。”
と率直にお聞き出来る機会がありました。
担当者の方がすぐに「確かにそう感じる方も中にはいるかもしれないけれど、パートナーがいたらこういうこともあるんだ、という気づきの方が多くなればいいなと思います」と答えてくれて、はっとしました。
実は、私自身も「ひとり親」です。
そして私の場合は、「もしも父親がいたら」という想像は、あまりしてきませんでした。
その想像は、心をざわつかせます。
乗り越えてきたものにすがるような、負けたような気持ちが起こるからです。
ひとりでもちゃんとやってみせる、という気持ちの方が強かったのだと思います。
でもそれはきっと、「元配偶者」という具体的な父親像が頭の中に浮かんでしまうからかもしれません。
きずなメールの読者として、「父親一般」として言葉を受け取ったときは、違った気持ちになれるような気がしました。
そう思ってもらえるためにはどんな工夫をしたらいいのか…
「自分が把握できていなかった親の役割」を教えてもらえるなら、親にとっても子どもにとっても、有意義なことです。
「気づきが多くなったらいい」という自治体の方の言葉は、私の中で新しい風が吹いたようでした。(了)
追記:
ほかのひとり親の方はどう感じるのかな…と思いを馳せたとき、「父親支援を盛り込むために、ひとり親の声を聴く」という一見矛盾した思いつきもよぎりました。そして、この時私の頭の中にあるのは「母親ひとり」という想定であることにも気づかされます。「父親ひとり」で子どもを育てている家庭ももちろんあり、私たちはどこまでを視界に入れることができるのか…言葉の可能性を検討します。
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