妊婦さんがお酒を控えているとき、飲みたい夫はどうする?/子育てにおけるGender equalityを促すマタニティきずなメールRP②
コンテンツチームの荻原です。
妊娠期の「マタニティきずなメール」と、子どもが生まれてからの「子育てきずなメール」で構成される私たちの「きずなメール事業」では、年に一度、原稿を最新の状態に保つためのリニューアル作業を行っています。
タイトルの「マタニティきずなメールRP」とは、「マタニティきずなメールリニューアルプロジェクト」のこと。
どちらのコンテンツも医師や管理栄養士による監修を受けており、監修の専門家によるファクトチェック、読者から届いた声の検討、また、妊娠出産、子育ては時代によって変化しますので、その変化への対応などが主ですが、今年は様々な条件が重なり、例年よりも規模を大きくし、新たな視点を追加してリニューアルを行うこととなりました。
まだ日本では耳慣れない、英語表記の「Gender equality(ジェンダーイコーリティ)」を使い、編集方針のリニューアルから始めたというのが前回の報告でした。(前回の報告はこちらよりご覧いただけます→https://www.kizunamail.com/news/16161/)
では具体的にどこから始めていくか。
まず、すでに私たちが気づいている課題に答えることから始めていくことにしました。
そこで早速、これまで集まった読者の方からの声や、改めて私たちが原稿を通読して、改善した方がいいと感じられる点を洗い出してみました。
そこでわかったことは、「子育ては母親がするものだ」というような「固定概念(=バイアス)」に陥っている箇所が主たる問題だということです。
この「ジェンダーバイアスをやわらげる」ことを、2024年度の目標として進めてまいります。
11月25日、外部の方も加え行われたMTGの中で、実際の原稿をどのように改稿していくのがきずなメール的な適切さなのか、検討する機会がありました。
その模様を簡単にお伝えします。
題材となったのは以下の原稿です。
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妊娠5週と3日
出産予定日まで242日
(前略)
<今日のあなたへ>
お酒が大好きな人も、妊娠したらアルコールは控えましょう。飲酒は、おなかの赤ちゃんの成長を妨げるおそれがあります。ママが飲んだり食べたりしたものは、胎盤(たいばん)を通して赤ちゃんに届けられます。物足りなさを感じる人もいるかもしれませんが、ノンアルコールの飲み物を楽しんでいきましょう。
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赤字の部分について、まずは<今日のあなたへ>の「あなた」が妊婦さんでありパートナーであることを考えると、胎児への影響を及ぼすのは妊婦さんの飲酒のみです。
なので「お酒が大好きな“人”も」という表現だと、パートナーも禁酒することを求めていることになるので、「お酒が大好きな妊婦さんも」など、表現を調整する必要が出てきます。
では、「お酒を好きな妊婦さんが、アルコールを我慢している」という状況のなかで、パートナーに向けても一言、文章を加えるとしたら、どのような言葉がよいか?このような議題でした。
例えばこのような話が出ました。
・「好きなお酒を我慢している妊婦さんの場合、横でおいしそうにビールを飲まれたら、少し嫌な気がするかもしれません。夫婦の中で話し合い、ルールを決めましょう。」という文章を加える。
・行動を指示する内容ではなく、事実のみを伝えて、どうするかは受け手に任せる方がよい。例えば「好きなことをこれだけの期間我慢することを強いられるです」のような内容を加える。そして、同じことが自分に起きたらどうか?を想像させるなど。
・お酒に限らず、長期的なパートナーシップをどのように結んでいきたいかという話だと思う。子育てが始まってからも、このような問題はしばしば起こる。例えばファミレスで、母親が子どもに食事を食べさせていて、母自身はほとんど食べることができない。対面に座っている父親は、早々に食事を終えてスマホをいじっている、など。ほかの状況にも活かせるような内容にできるのでは。
・きずなメールの「パーソナリティ」がどのようなものかにもよるのではないか。例えば、医者の立場なのか、保健師の立場なのか、どのような顔で言葉をかけていくのか。それはひとつでなくてもいいと思う。エビデンスにもとづいた、科学的な顔や、寄り添い文章のところでは、別の顔などでも。
・上記については、「子育て経験者の顔」というのはひとつあると思う。
原稿を決定する場ではなかったので、ひとつの案にまとまったわけではありませんが、子育てにおけるジェンダーイコーリティについて考える機会となりました。(了)