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第21回日本周産期メンタルヘルス学会学術集会に参加しました/子育てにおけるGender equalityを促すマタニティきずなメールRP⑪

2025年11月26日

コンテンツ担当の荻原です。2025年9月27日、第21回日本周産期メンタルヘルス学会学術集会に参加してきました。

この学会に参加することは初めてでしたが、いくつかのシンポジウムで出てきた話題から、以下のようなことを感じました。

・周産期メンタルヘルスは(一般的な精神科の患者さんを扱うのに比べて)、関わる人がとにかく多岐にわたる
・支援者側の負荷が大きく、支援者支援が大きなトピック。
・そもそも専門家のみで対応しきれる患者数ではないことから、ポピュレーションアプローチや、専門家以外の方の関わりが重要となってくる。

聴講したシンポジウムの中から、印象に残ったことを共有します。

 

★タイトル「周産期から始まる子ども虐待予防」
溝口史剛(高崎総合医療センター 小児救急部長)

・「母親が子どもへの関わりを強くすればするほど、子どもが親を見つめる割合は減る」
・「トラウマを外在化してゴーストをやっつけることも必要だが、同時に愛された経験も引っ張り上げ、強調することが大事」

 

★タイトル「周産期メンタルヘルスを見るメガネとしてのTICPOC~支援者のエンパワメントに向けて~」
笠井清登(東京大学医学部付属病院 精神神経科 教授)

・「医学や心理学のモデルは、“個人モデル”。実際には、社会や他者の存在も大きな要素だが、社会は定類として扱う=変化は考えない」
・「“助けてが出せるように”よりも“周りが助けてに気づけるように”の方が重要」

 

そして、マタニティきずなメールの監修者に加わっていただいた村上寛先生も登壇されており、ランチョンセミナーを拝聴して参りました。

★タイトル「産後うつに対するハイリスクアプローチとポピュレーションアプローチ-信州松本地域での取り組み-」
村上寛(信州大学医学部 周産期こころの医学講座 講師)

松本市美術館で行った「ベビーといっしょにミュージアム」という取り組みが印象的でした。
産後のお母さんは、悩みを抱えていたとしても、日頃赤ちゃんとばかり接していることも多く、自分の気持ちをアウトプットすることがうまくできないことも多いもの。
だから「アートコミュニケーター」という方とのツアーで、「学芸員的な知識な豊富な方に教えてもらう」というスタイルではなく、「好きな美術について誰かと話す」体験を通して、「自分の気持ちを話す」というアウトプット力を開放することができるのだそうです。、そして、出口で村上先生がブースを構えていて、何かあればお話聞きますよとニコニコされているのだとか。
「相談への心理的ハードル」について、ここまで考え、設計するのだと驚きました。

村上先生の、大学での診療医のお仕事の外側の活動の一端を知ることができ、改めて監修者となっていただいたことに感謝したい気持ちになりました。

そのまま原稿制作につながるというものではないかもしれませんが、実態の把握と現場の方がどのような課題を抱えているのか、理解が少しでも進みました。
これからも、学びを続けていきたいと思います。(了)

 

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