０　はじめに

2024年2月8日、「【連続３回】子育て当事者7918人のアンケート回答を読み込んで意見交換する勉強会」の第３回「出産は交通事故レベル？　出産後の体調は？」が開催されました。

勉強会の報告者であるライターの飯島章太が、本イベントについてレポートします。

１　勉強会の概要

NPO法人きずなメール・プロジェクトでは、全国の自治体にて「きずなメール事業」を行なっています（事業についてはこちら）。2022年度、23自治体の約4万人の子育て当事者にアンケートを実施し、7918人の回答が集まりました（データはこちら）。

本イベントは、その7918人の回答に目を通してみて、主に就学前の子育て世帯の「可視化されていない状況／課題」に想像をめぐらせ、意見交換するために行われました。勉強会の概要や趣旨については、こちらをご覧ください。

過去の勉強会の記事については以下をご覧ください。
・第１回勉強会記事 「開催報告：行政に相談するという選択肢がない〜子育て当事者7918人のアンケート回答を読み込んでの意見交換会〜」
・第２回勉強会記事 「レポート：子どもが生まれて予想外だったことは？〜子育て当事者7918人のアンケートを読み込んで意見交換する勉強会　第２回〜」

当日は以下のタイムテーブルで行われました。

①会の趣旨説明
②「統合データ」の説明
③本稿筆者によるアンケート回答の定性分析
④フリーディスカッション

２　体調の悪循環

本イベントにおいて、印象的だったトピックをご紹介します。
「今、あなた自身の体調はいかがですか？」と尋ねたアンケートに対して、「あまりよくない」「よくない」と答えた方の自由記述をカテゴリーに分析したところ、以下のようなカテゴリーとなりました（自由記述の全体回答数は507）。

１　身体的な体調の悪さ　207/507
２　精神的な体調の悪さ　57/507
３　寝不足　75/507
４　風邪・コロナ・持病等　79/507
５　孤立　43/507
６　仕事と育児の両立が大変　41/507
７　その他

上記のカテゴリーから分析すると子育て当事者の体調は、

①そもそも出産直後は、疲れが戻りきっていない。
②そのため育児が始まると、心身の体調を崩しやすくなる。
③病院に行く暇も、疲労を取る余裕もないため、心身が不調のままになる。
④慢性的な寝不足のため、免疫力が落ち、自分の回復力も戻らない。
⑤風邪（子どもからうつることも多い）もしくは持病から、より体調が悪化する。
⑥育児・家事・仕事の負担によって疲労がたまり、さらに体調を整えにくい。

といった悪循環が浮かび上がってきました。

３　まとめ：背景にある「孤独」

子育て期においては、体調がよくない状態が続きやすいことがわかりました。

一方でその背景には、
・子育てする人に負担が集中しすぎている
・周囲や自治体から子育てへの支援がない
など「孤独」が重要な問題として挙げられました。

そこで、次回2024年3月7日（木）の第４回勉強会のテーマ「子育てしながら《孤独感》を感じることはありますか？」にて取り上げたいと思います。興味のある方は、こちらからお申し込みいただければ幸いです。

記事をご覧いただき、誠にありがとうございました。

ライター　飯島章太
フリーライター。児童相談所に勤めた後、ビジネスや子ども福祉に関わるライターとして活動。著書に『図解ポケット　ヤングケアラーがよくわかる本』 。ブログ「けあけあ　子どもをケアする人がケアされる社会に」（https://mumeinojibunshi.com/）。