きずなメール・プロジェクト

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「きずなメール事業」導入を検討される自治体の皆様へ  ~「重層的支援体制整備事業」~

2023年3月20日

政策企画提案チームの西川です。

きずなメール事業は、「複数専門家によって制作監修されたテキストメッセージによるセーフティネット」です。
「対象市民に登録し読み続けてもらって、アンケート等で声を聴いて、それを自治体や国の施策に反映する」までがひとまとまりの事業です。

こうした大きな仕組みを機能させるには、相応の財源が必要です。
きずなメール事業を実施するにあたり、財源のひとつとなる、利用できる交付金を複数回でお伝えしていきます。

第1回目は、「子ども・子育て支援交付金」と「利用者支援事業」について。
第2回目は、「少子化対策推進交付金」について。
第3回目は、出産・子育て応援交付金について。
第4回目は、「地域子育て支援拠点事業」について。

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第5回目は、「重層的支援体制整備事業」について紹介いたします。

重層的支援体制整備事業では、「属性を問わない相談支援」、「参加支援」、「地域づくりに向けた支援」の3つの支援を一体的に実施することを必須にしています。「属性を問わない相談支援」中には、「利用者支援事業」が含まれています。「地域づくりに向けた支援」の中には、「地域子育て支援拠点事業」が含まれています。利用者支援事業地域子育て支援拠点事業は導入自治体で活用の事例があるので、重層的支援体制整備事業においてきずなメール事業をプラスするご提案をしたいと思います。

まずは、簡単に重層的支援体制整備事業について説明いたします。社会福祉法の改正により、 「重層的支援体制整備事業」は令和3年4月に施行されました。「市町村において、すべての地域住民を対象とする包括的支援の体制整備を行う事業」として、社会福祉法に位置づけられています。

〇社会福祉法改正による新たな事業の創設の背景
これまでの福祉制度・政策と、人びとの生活そのものや生活を送る中で直面する困難・生きづらさの多様性・複雑性から表れる支援ニーズとの間にギャップが生じてきたことが背景にあります。

上記の図は、平成28年度社会福祉推進事業「生活困窮者自立支援制度の自立相談支援機関における支援実績の分析による支援手法向上に向けた調査研究事業※1」よる新規相談受付をグラフ化したものです。経済的困窮をはじめ、複数の課題を抱える者が半数を超えることがわかりました。

課題が複雑化・長期化すると自力で解決することが困難になり、相談もしづらい状況に追い込まれます。前に早期発見する仕組みの構築は言うまでも有りませんが、制度の狭間にひっそりとこぼれ落ちる状況を改善する必要があります。そのような背景で制度・分野ごとの「縦割り」や「支える側」「支えられる側」という従来の関係を超えて、行政だけではなく、多職種連携や地域で一体となって人と人、人と社会がつながり支え合う取組が生まれやすいような環境を整えることが求められています。

(以下の図と文章は、厚生労働省 社会・援護局地域福祉課地域共生社会推進室 地域共生社会の推進及び 重層的支援体制整備事業についての資料から抜粋・引用。)
対人支援に今後求められるアプローチは下記の図のような課題解決を目指すアプローチつながり続けることを目指すアプローチの伴走型支援が必要と書かれています。

 

重層的支援体制整備事業における各事業の概要
重層的支援体制整備事業では、市町村全体の支援機関・地域の関係者が断らず受け止め、つながり続ける支援体制を構築することをコンセプトに、「属性を問わない相談支援」、「参加支援」、「地域づくりに向けた支援」の3つの支援を一体的に実施することを必須にしています。
重層的支援体制整備事業における各事業の内容については、以下のように社会福祉法第106条の4第2項に規定しています。3つの支援を第1~3号に規定し、それを支えるための事業として第4号以降を規定しています。それぞれの事業は個々に独立して機能するものではなく、一体的に展開することで一層の効果が出ると考えています。

 

重層的支援体制整備事業実施計画の策定
市町村が住民や関係者・関係機関との意見交換等を重ね、「重層的支援体制整備事業実施計画」を策定するよう努めることとしています。(社会福祉法第106条の5)

〇重層的支援体制整備事業の財政支援は、既存制度からの財源を含めて一括で交付して、関係機関によるチーム支援を推進するものです。重層的支援体制整備事業が円滑かつ効果的に実施されるよう、実施計画に基づく事業の実施状況を一定期間ごとに確認し必要な見直しを行います。具体的な手段として、「関係機関の共通認識を基にした事業実施計画の策定」→「計画に基づいた事業実施」→「事業実施結果の評価・検証」→「実施結果等を踏まえた計画見直し」といったPDCAサイクルを活用することを想定しています。(以下の図は地域共生社会の推進及び 重層的支援体制整備事業についてP25から抜粋)

重層的支援会議及び支援会議について
支援会議は、社会福祉法第106条の6に規定されたもので、市町村が実施し、守秘義務を設けることで、潜在的な相談者に支援を届けられるよう、本人の同意がない場合にも情報共有に基づく支援の検討等が可能です。多職種連携事業における重層的支援会議や支援会議から集積された地域における支援等のニーズについて、市町村の職員も参画した上で検討をすることで、市町村全体での体制整備を推進する効果が期待できます。

 

自治体きずなメール事業は利用者支援事業や地域子育て拠点支援事業として事業導入・継続していただいている自治体は多いです。妊娠期から子育て期まで切れ間なくつながり続ける伴走型支援とソーシャルキャピタルにつなげることを目的に是非ご検討をください。

【まとめ】きずなメール事業が重層的支援体制整備事業の一助になれること
❝制度の狭間にひっそりとこぼれ落ちそうな人❞ ❝声を出しづらい人をみつけて支援につなげる❞のヒントになりましたら幸いです。

①支援臭を限りなく出さずにリアルコンタクトポイントをつくることができる。
→母子手帳交付時、面談や相談、母親・父親学級の時に、登録案内のチラシなどを直接声をかけて登録を進めることは、住民への自然なコンタクトポイントになります。

行政と住民をつなぐ架け橋になります。
出産予定日・ニックネームとお子さんの誕生日を登録するだけで、必要な時に必要な支援が受けられるように、妊娠初期から「弱いきずなでつながり続けます」。人生で支援が必要なタイミングは誰しもありますが、通常時は見守るだけで良いことがほとんどですので、必要な時に支援につながる仕組みに寄与します。

③地域につながる仕組みづくりに寄与します。
→月齢に合わせた地域の子育て情報やコミュニティを自分で調べることは、忙しい子育て中はなかなか難しいことです。初めに登録することで毎日一定の時間にメッセージを届けて、活用につなげます。

④住民と関係機関同士をつなぐハブの役割を果たします。
→住民から相談を受け付けたら必要な支援へつなぎます。
行政
へ直接相談できずこぼれ落ちそうなケースもSNSを経由することで相談のアクションの垣根は低くなります。

⑤読者アンケートで住民のニーズの把握ができます。
重層的支援会議及び支援会議においてニーズの把握は重要です。読者アンケートで当事者の生の声を把握することができます。

以上、きずなメール事業を「利用者支援事業」「地域子育て支援拠点事業」として導入することで、重層的支援体制整備事業の一助になれますと幸いです。安心して子育てができる環境を整えることに寄与しますのでご検討ください。

厚生労働省 地域共生社会のポータルサイト 重層的支援体制整備事業について
図は厚生労働省 社会・援護局地域福祉課地域共生社会推進室 作成資料
地域共生社会の推進及び 重層的支援体制整備事業についてから抜粋

 

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