妊娠期957回答のうち、孤独感「頻繁にある」3.2%、「時々ある」19.5%
広聴チームの三本松です。本記事では、きずなメールのアンケート(自治体を通じて年に一回実施)に寄せられた自由記述より見えてきたことを共有したいと思います。
今回は妊娠期の孤独感についてです。きずなメール事業は“孤育て”という社会課題解消を目指し自治体とともに取り組んでいます。
妊娠期のアンケートでは、「今の生活の中で孤独感を感じることはありますか?」という問いに対しては、「頻繁にある」が3.2%(2021年度は2.3%)、「時々ある」が19.5%(2021年度は21.0%)でした。
この問いで「頻繁にある」「時々ある」を選択した人に自由記述式で理由を聞いています。
2022年度のアンケートでは、139の自由記述がありました。全体を把握しやすくするために広聴チームで分類をし、参考までに届いた数の割合も示しながら、当事者の声を共有していきたいと思います。
※紹介する自由記述は原文のママですが、改行の削除と自治体名が記載されていた場合は「自治体名」と変換しています。
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~物理的に一人、(夫以外の)人との接触機会がない~ 約40%
■妊娠をしてから転入してきた為、就労しておらず日中は1人で過ごしている為。(赤ちゃんの母親(1人目)、20代後半、妊娠4-6か月)
■一人で在宅ワークをしており、家族以外と会うことを控えているため(赤ちゃんの母親(1人目)、40代前半、妊娠4-6か月)
■夫以外と会話しない日々が多いため(赤ちゃんの母親(1人目)、30代前半、妊娠7-9か月)
■マンションで1人の時間が長い(赤ちゃんの母親(1人目)、20代後半、妊娠7-9か月)
■転居してきたところなので知り合いがいない。働いていない、知り合いがいないので社会とのつながりがない。(赤ちゃんの母親(1人目)、30代後半、妊娠7-9か月)
■産休で家に1人でいると孤独感を感じる(赤ちゃんの母親(1人目)、30代前半、妊娠10か月)
■今まで仕事漬けの毎日だったので、産休に入り家にいる毎日が始まると、外出する機会も減り、社会から切り離された気分になる。(赤ちゃんの母親(1人目)、30代前半、妊娠10か月)
■引っ越したばかりで知り合いが近くにいない、子育てのコミュニティーがない(赤ちゃんの母親(2人目以上),30代後半,妊娠10か月)
~パートナーに関するもの~ 約18%
■夫との子供への興味の差(赤ちゃんの母親(1人目)、30代前半、妊娠4-6か月)
■夫婦で会話をしていると、夫には不安が無いのかな?と思ったり、身体の辛さが理解されないと感じる(赤ちゃんの母親(1人目)、30代後半、妊娠7-9か月)
■旦那に余裕がないと、あまり話を聞いてもらったり親身になってもらえず、孤独を感じる(赤ちゃんの母親(2人目以上)、30代前半、妊娠7-9か月)
■夫に相談しても反応がなかったり主体的に考えていなかったりして、相談のしがいがなく、自分がやるしかないと思ってしまう。(赤ちゃんの母親(2人目以上)、40代前半、妊娠7-9か月)
■里帰り出産で、父親になる夫としばらく離れて暮らしているので、寂しさや不安を感じる時がある。(赤ちゃんの母親(1人目)、30代前半、妊娠10か月)
~妊娠や出産そのもの、それらに伴うこと~ 約15%
■近くに両親が住んでいないので生まれた後、ワンオペになる事が不安(赤ちゃんの母親(1人目)、30代前半、妊娠4-6か月)
■コロナ禍の入院なので、面会に制限がある。まだしっかりした胎動を感じないので、お腹の中で生きているのか不安で孤独になる。(赤ちゃんの母親(2人目以上)、30代前半、妊娠4-6か月)
■初産だからか漠然と不安になる(赤ちゃんの母親(1人目)、30代後半、妊娠7-9か月)
■お互いの実家が遠方なため、子育てに慣れるまで不安があります。また金銭面など、物価の上昇もあり、不安があります。(赤ちゃんの母親(1人目),30代前半,妊娠7-9か月)
■子どもが生まれて生活が変化すると思うと不安。(赤ちゃんの母親(1人目)、40代前半、妊娠10か月)
■今の収入で、今後子どもを育てていけるのか漠然と不安になることがある。(赤ちゃんの母親(1人目),20代後半,妊娠10か月)
■コロナ禍の中、病院に入ったら全て一人で向き合わないといけない事に孤独を感じます。(赤ちゃんの母親(1人目)、30代前半、妊娠10か月)
~悩みを聞いてくれる人がいない/頼れる人がいない~ 約10%
■転勤族で「自治体名」外から来ていて、主人も出張などで家にほとんどいないため、頼れる人がおらず、今後うまくやっていけるのか不安。(赤ちゃんの母親(1人目)、30代後半、妊娠7-9か月)
■自営業だと同じような悩みが他の人と共有できない(赤ちゃんの母親(2人目以上),30代後半,妊娠7-9か月)
■不安な気持ちを伝えたいけど何となく遠慮してしまって伝えられない時がある。(赤ちゃんの母親(1人目)、30代前半、妊娠7-9か月)
■親族は近くにいるが、いざという時頼りにくい 自分の家族は離れて暮らしている。親も仕事がある、自分の親の介護もしている為、頼りにくい(赤ちゃんの母親(1人目)、30代前半、妊娠10か月)
~体調の悪さ(それを理解してもらえないも含む)~ 約10%
■体調が悪く心細い時がある(赤ちゃんの母親(1人目)、20代後半、妊娠1-3か月)
■つわりのつらさは自分にしかわからない(赤ちゃんの母親(1人目)、20代後半、妊娠1-3か月)
■母親にしか分からない辛い体調面があること(赤ちゃんの母親(2人目以上)、30代後半、妊娠7-9か月)
~分類にいれられなかったもの~ 約12%
■妊娠出産で職場から一時的に離れること(赤ちゃんの母親(1人目)、30代前半、妊娠1-3か月)
■漠然とそう思う(赤ちゃんの母親(1人目)、30代前半、妊娠7-9か月)
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今回の分類でいちばんボリュームのあったものをみると、「家で一人でいる」「(夫以外との)人との会話がない」状態が社会とのつながりを実感できず、孤独感につながっていると感じました。結婚や妊娠を機に転居することも多いなか、それにより近所に知り合いがいない状況も見えました。人と知り合うのは自然となることかもしれませんが、割と難しいことにも思います。コロナ禍の今ではなおさらです。
きずなメールはテキストメッセージにより、社会関係資本(地域とのつながり)を醸成し、孤立した子育ての防止を目指します。国では“伴走型”を掲げ、妊娠8か月頃に自治体が妊婦へ連絡する機会ができます。妊娠期から2歳まで月齢に合わせたコンテンツ(原稿)を届けるきずなメール事業も伴走型支援の一環として、より多くの自治体で採用していただけるよう働きかけていきたいです。(了)