産後体調は「交通事故レベル」!? ~2022年度統合データより
広聴チームの三本松です。団体では、きずなメールを読んでいる方に、自治体を経由して年に一度アンケートを実施しています。アンケートは子育て当事者の声を聞くため、設問の一部のパートは妊娠・子育て当事者自身についての問いです。
本記事では産後の体調(0歳児のお子さんがいる方)をテーマに取り上げたいと思います。きずなメールの読者は母親が約9割のため、紹介するコメントも母親の回答です。
まず数量的にみると、2022年度の「統合データ」(※1)では、「よくない」「あまりよくない」は、全体の9%、約1割でした。

注釈)子育て期の読者全体のため、3歳までのお子さんがいる方(一部の自治体では6歳まで)となっています。
続いて、体調が「よくない」「あまりよくない」を選択した方に具体的なことを聞いた回答です。0歳のお子さんのいる方の回答から一部紹介します。
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■気分にムラがある、免疫が落ちているからか湿疹ができてつらい、痔が悪化してつらい、自分の体の手入れが後回しになって十分手が回らないので全体的にひどい(子どもの母親(1人目)、30代前半、0歳0か月-0歳5か月)
■悪露が続いており、特に下半身の疲労が酷い(子どもの母親(1人目)、30代前半、0歳0か月-0歳5か月)
■まだ力を入れると傷が痛い(子どもの母親(1人目)、30代後半、0歳0か月-0歳5か月)
■産褥期に加え、痔や腱鞘炎なども併発してしまい疲れが大きい(子どもの母親(1人目)、30代前半、0歳0か月-0歳5か月)
■乳腺炎になり、3週間くらい寝込んでます。(子どもの母親(1人目)、20代後半、0歳0か月-0歳5か月)
■腰痛が酷く仰向けで寝れない(子どもの母親(1人目)、30代後半、0歳0か月-0歳5か月)
■身体の痛み、疲労、寝不足(子どもの母親(1人目)、30代前半、0歳0か月-0歳5か月)
■産後の疲れが出た。出産直後より今が一番辛い。育児に慣れた頃と思われているので、助けを求めづらいのがまた辛い。(子どもの母親(2人目以上)、30代前半、0歳6か月-0歳11か月)
■肩、首、背中、腕、腰、膝などが痛くて辛いです
寝不足も解消されることが無いです(子どもの母親(1人目)、40代前半、0歳6か月-0歳11か月)
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「出産は交通事故レベル」という表現がありますが、いいところをついているように思います。
身体の不調は、他人に伝えるのがなかなか難しく、また、相手のしんどさを理解するのも簡単にはできません。とくに、出産や産後の体調不良は男性は経験できないため、パートナーの理解を得るのは難しい。きずなメールをパートナーや家族で一緒に読むことで、その溝を少しでも埋められたらと思います。そのほか、産後ケアにアクセスしやすくなることも重要です。
国の「こども未来戦略方針」の中にある「加速化プラン」(今後の3年間の集中的な取組)には、「全てのこども・子育て世帯を対象とする支援の拡充」とあり、産後ケア事業も本年度から全ての世帯が利用者負担軽減の対象となる旨の記載がありました。筆者の住む自治体でも、利用料の値下げなど利用のハードルが下がったようです。
筆者も自身の出産後、助産師さんのケアを受けたことがあります。困っていた不調がやわらいだと共に、助産師さんの声掛けに理解してもらえたと嬉しい気持ちになりました。(了)
※1「統合データ」:きずなメール事業で実施している各自治体での読者アンケートを合算して集計したもの。22年度は23自治体分で子育て期の回答者は6,961名。