きずなメール・プロジェクト

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5万2123人とつながり続けるコアバリューとは何か(18歳までの配信対象者拡充にあたって)

2023年10月27日

きずなメール ・プロジェクトはNPO法人として、「孤育て(孤独な孤育て)予防」「社会的孤立の予防」をMissionとして活動しています。「きずなメール」を「つながり続けるセーフティネット」としての活用をご提案するのも、このMissionを実現するため。「つながり続けるセーフティネット」として2023年10月26現在、5万2123人の読者の方とつながり続けています。

そんな中、東京都大田区で、18歳誕生日までつながりつづけるきずなメールのLINE配信が始まりました。

東京都大田区で配信している「大田区子育て応援メール」の配信対象期間はこれまで「妊娠期~0歳~6歳(就学前)」でしたが、2023年10月5日から「小学校入学後~18 歳誕生日」まで拡充しました。

拡充に際し、学童期・思春期のお子さんを持つ保護者の不安解消、孤立予防を目指し、発達の悩み、不登校や親子関係の相談窓口や支援策、子どもの居場所等の情報提供に重きをおいています。HPVワクチン接種案内も含まれます。自治体の子育て応援メール事業として、妊娠期から18歳までをカバーするのは日本初の試みです。

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私自身の子どもを通して感じたことですが、子どもが小学生に上がった時、突然手放しで放り出された気持ちになりました。それまでの未就学児の頃は、子どもの通う園にお迎えにいって先生方と話したりするなど、園での生活の場を容易に見ることができましたし、それによって日々子どもの過ごし方を理解しやすい状況だったのだと思います。

子どもが小学校に入学すると、先生と話す機会はとたんに減りました。何気ない会話はできず、気がかりなことがあったとしても、相談するということはハードルが高くなったように感じました。タイミング的にコロナ禍とあいまって、それまで実施していた授業参観や、養育者が参加できる行事に制限がかかったこともあり、私にとっては小学校というものを理解できる情報がとても少なく感じました。

ふとした疑問などは連絡帳などで相談できるとはいえ、それは子どもを介してのことになり、子どもがちゃんと連絡帳を先生に渡せるかというところから始まるので、なんとなく気が重く、日々の生活の中では解消できなくなりました。また、スクールカウンセラーの案内があっても、面談に予約が必要だったり、在校している曜日や時間を調べてそれに合わせて訪問したりする必要があります。

こう考えると、子どもが小学校に入学したタイミングで、それまでの「園⇔養育者」という相互で自由にコミュニケーションがとれる環境から「学校→子ども→養育者」という関係がどんどん多くなり、親は学校と直接の関係を持てる機会が少なくなっていくように感じます。

行政からの支援という面で考えても同様に、未就学児の時には、未就学児を養育する人に向けた直接的な支援というものから、小学校入学を境に子どもそのものが個として捉えられることによって、夏休み前にいじめ相談や学校や家庭での困りごと等の相談窓口のプリントが配られますが、タイミングが合わなければプリントをもらって終わりになる場合も多いです。「行政→子ども→養育者」という構図になり、行政にアクセスする機会が就学後には減っていくことを経験しました。

これまで小学校入学前に終了していた大田区での配信を、18歳まで延長するとなった時、団体内で一番初めに決めたことは、このメッセージの受け取り手は、「子どもではなく、養育者である」ということでした。

子どもも文字が読めるようになるので、養育者と一緒に講読することも選択肢には上がっていたのですが、これまで妊娠期~未就学児の時代にもそうしてきたように、子ども日々向き合う養育者に向けたメッセージを届け、その養育者自身が楽しい気持ちになったり、子どもとの関係性にふと気が付いたりすることで、前向きな気持ちで養育者が子どもとの生活を営んでいけるような事業になることを一番の目的として据えました。

冒頭に書いたように、きずなメールは「孤育て(孤独な孤育て)予防」「社会的孤立の予防」をMissionとして活動しています。「きずなメール」を「つながりつづけるセーフティネット」として活用いただくために、まず養育者へのメッセージであるということを、団体で再確認しました。つまり、『養育者とゆるやかにつながり続けられる』、という点がこの事業のコアバリュー(大切にしている価値)になります。

このコアバリューを堅持するために、監修者の先生方との協議を重ねてきました。日々子どもや養育者と接している、小児科医や内科医・プライマリケア医、産婦人科医の先生方の実感としても、就学前までの行政からの支援は充実している一方、就学後の子どもとの関わり方は百人百様であるため、行政からの一斉案内ではなく、その個人個人によりそった支援が基本となってくるというお話もありました。

原稿の制作にあたり団体では、「成育基本法」を拠り所のひとつとしました。妊娠期から思春期を経て成人に至る成育過程において、子どもたち一人ひとりの健やかな発育を目指し、医療、公衆衛生学的な視点や教育、福祉等の幅広い分野で施策を連携するための一助となるような原稿を目指しました。具体的には、小学校(7歳~)のお子さんをお持ちの読者には、学校生活などの環境変化へのケア、健康管理、事故予防についてのメッセージを届けます。中学校(13歳~)は、多感な時期の見守りと声かけ、命の大切さを、そして16〜18歳は、自立に向けてのサポート、自己の確立についてのメッセージを届けます。

情報洪水時代の今、子育て中の保護者が正確な情報・知識を入手するのは簡単でなく、孤立しやすくもなっています。だからこそ「ゆるやかにつながり続ける」という「弱いきずな」が、妊娠期から18歳までの約19年間の目に見えないセーフティネットとして役割を果たします。(了)

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