繰り返される「子どもの事故」を防ぐには
きずなメール・プロジェクトの井上です。
先日、マンションのベランダなど建物から子どもが転落する事故が相次いでいることを受け、消費者庁の安全調査委員会が再発防止に向けた調査を行うことを決めた、というニュースを目にしました。
■子どもの転落事故 再発防止に向け「消費者事故調」が調査へ(NHK NEWS WEBのサイト)
現在、きずなメール事業を活用している東京都中央区は、居住世帯のある住宅のうち、9割が共同住宅、つまり中央区に住んでいる人のほとんどがマンションなどの集合住宅に住んでいます。きずなメール事業の一環として配信している「保健師メッセージ」でも、妊婦さんに向けて、「赤ちゃんを迎える前にベランダや窓周辺の安全確認をしておくと安心です」と案内しています。
東京都大田区でも、月日指定メッセージを活用して、読者に事故防止のサイトを案内しています。
■窓やベランダからの子供の転落事故にご注意ください(東京都住宅政策本部のサイト)
2023年4月、11年ぶりにリニューアルされた母子健康手帳には、生後2か月で保護者や医師らが子どもの様子を書く欄が新設されたことに加え、事故などの予防につながる質問も追加されています。
厚労省の検討会によると、デジタルで記録を残すことができれば、災害時に紙をなくした時のバックアップにもなるということから、これまで母子健康手帳の後ろのほうに掲載されている「母子健康手帳情報支援サイト」が2023年4月以降に本公開されました。母子健康手帳に掲載できなかった情報をウェブ上で閲覧してもらえるようにしたものです。
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未就学児の事故は、このように情報集約されていますが、自分自身の子どもが小学生となり、就学後の子どもの事故予防はどのように行われるのかと興味を持っていたところ、NHKスペシャル「学校事故」という番組を見て、小中高で発生している事故について初めて知りました。
事故の内容は年齢によって異なりますが、周囲が気をつけることで防げるものが大部分だそうです。事故は、それが起こりうることを事前に知っていれば、防げます。発育過程の中で、いつ頃、どんな事故が起こりやすいか知っておくことが大切です。
番組では、「小中高生の事故は個々のケースに対して各々の自治体で予防を対策できるが、それを国が集約して全国統一で事故予防を呼びかけることができないという構造的要因があるため、同じ事故が繰り返されてしまう」とありました。
2023年4月1日に発足したこども家庭庁は、縦割り行政を解消するため、それまで各府省庁に分かれていた子ども関連の政策を一元管理し、内閣総理大臣の直轄組織として内閣府の外局におかれ、主に乳幼児から18歳未満の子ども(政策によっては30歳未満までの青年)を支援することを目的とする機関です。
母子健康手帳には掲載しきれない、就学後の子どもの事故予防に関しても、「母子健康手帳情報支援サイト」等で養育者に向けて最新の注意喚起や情報共有がなされると、繰り返される学校事故への対策につながるのではないかと思います。(了)