きずなメール・プロジェクト

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『「社会を変える」を仕事にする(駒崎弘樹)』を読んで

2023年5月24日

3月からきずなメール・プロジェクトでお仕事を始めました、古屋です。
日々新しいことに驚きながら仕事を覚えている最中です。
私が日々感じたことや驚いたことをこちらで書いていきたいと思います。

 

先日、『「社会を変える」を仕事にする(駒崎弘樹)』という本を読みました。

副題が「社会起業家という生き方」となっていて、社会起業家ってなんだろう?というところから始まりました。

社会起業家とは、「事業によって社会問題を解決しようとする」人、だそうです。

まず「事業」があって、その力を社会問題にも向けるのではなく、まず「社会問題」があって、それをどう解決しよう?と考えたときに、事業という方法を取ること、とも言い換えられそうです。

社会問題を解決する、と言うとすぐ「政治」を思い浮かべてしまう頭の古い私ですが、この本を読んで、認識の変わるところがたくさんありました。

そして、きずなメール・プロジェクトはそういう場所だったんだ、と今更ながら知った思いです。

本当にいろんな面で勉強になったのですが、特に心を動かされたところを何点かあげてみたいと思います。

 

・何もないところから始める力

まだ「病児保育」というものが問題視されていなかった時に、自分たちで実態を調べるところから始める行動力がすごい!と思いました。
まず、「本当にニーズがあるのか」「ニーズがあるならどこかの誰かがやっているはずじゃないか」「なぜニーズがあるのにサービスが広がらないのか」というような、ことを調査していき、実際に病児保育事業をやっている施設に体験をしに行って、会計報告まで見せてもらうシーンがあります。
流通している情報や、実際に始めている人、挫折した人などを前にしても、自分が本当にその問題の、根っこの部分に切り込むのだ!という情熱に心を動かされました。

・失敗しても立ち上がる力

病児保育施設の創設がひょんなことでダメになり、保育施設をつくることが目的ではなく、病児保育を解決することが目的なのだから、施設を作る以外にも方法があるはずだ、ともう一度奮起するシーンがあります。
失敗しても考えることをやめない姿勢に、心を動かされました。

・「川で溺れる人」と「川へ投げ込む人」の構造
溺れている人を一人一人助けることも大切ですが、なぜそんなにも溺れる人がいるのだ?という問題を同時に考えていきます。この場合ですと「子どもが病気でも休むことを許されない会社や働き方」を考えるということ。
そこで筆者は、欧米にある「ワークライフバランス」という考え方に着目します。これは、「人の創造性こそが競争力を作り出す基盤だ、ゆえに安定した精神状態の中で働いてもらうことが大切だ」として、「仕事と生活の調和」を考える概念だそうです。
こうして筆者は企業に対するコンサルティング事業も始めていきます。目の前の問題だけではなく、問題が起きてしまう構造にまで着目して、その両面から取り組んでいくという本気さに心を動かされました。

この本は2007年に出版され、2011年に文庫化されたようです。
今から15年以上も前に出た本なので、現状とは大きく違っているのかもしれません。
それでも、熱意にあふれた文章は、15年くらいの時代の変遷では色あせない迫力があり、ハートに火の点く気持ちです。

働き始めてから3か月が経とうしています。
右も左もわからない中で発揮される、何も知らないゆえの情熱と、これまで蓄積されてきたものを知り始めてきたゆえの鎮静と、私は今両方の間にいるような気がします。

「ニーズがあるならどこかの誰かがやっているはずじゃないか」と言った誰かの言葉も、そんな3か月目の鎮静だったかもしれない。

小手先の知識や情報に取り込まれず、考え続けることをやめてはいけないな、と感じた読書でした。(了)

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