通勤電車、どの街にも必ずあったもの
3月からきずなメール・プロジェクトでお仕事を始めました、古屋です。
日々新しいことに驚きながら仕事を覚えている最中です。
私が日々感じたことや驚いたことをこちらで書いていきたいと思います。
私は普段は在宅業務で、月に何度か、遠地から高田馬場にある事務所に電車で通わせてもらっています。
道のりおよそ、電車で1時間半。
その間に、色々な街を通ってきます。
地方都市、山間部、東京都下の街並み、23区内…
畑ばかりが広がる街もあれば、谷の折り重なった山深い土地もあり、線路の上から見るとびっしりと屋根が敷き詰められた住宅地もあります。
車窓からそんな街々をながめていて、どこの土地にもある、
と思ったものがあります。それは、電柱と電線です。
電線の地中化なんていうことも言われますが、少なくとも私が通う道のりには、電線はどこにでもあります。
人の住む場所というのはほとんど全て、電線でつながっているのだ、
と思いました。
「ゆるいきずなでつながりあう」というのは団体の目指すひとつの形ですが、私たちはもう、電線でつながっているのだな…
なんだか冗談みたいな着想ですが、車窓越しに次々と目の前に現れては通り過ぎていく街並みをぼんやり見ていると、ファンタジックな想像が頭の中をめぐります。
深夜2時に泣き出した子どもたちのために、リビングの明かりを点けた家々に電線を通して電気が送られる。
眠気まなこでわが子を抱きしめる深夜2時のお母さんお父さんたちはみんな、あの線を通してつながっているかもしれない。なんて。
電線のシステムはよくわからないけれど、そんな自由さも想像世界のたまもの。
あるいはあの黒い線を通って、子育て情報が流れていって、いろんな携帯電話が一斉に通知音を鳴らし、その日の子どもの様子をみんなが振り返る。
そんな場面を思うと、なんだか愉快です。
きずなメールの中で好きな原稿があります。
それは妊娠中の方に届く原稿なのですが…
“妊娠中に「こわい夢を見た」という人はけっこういるようです。おなかが大きくなって寝苦しくなるのが理由かもしれません。あるいは、お産や子育てに対する不安な気持ちが、夢に現れているのかもしれません…”
誰にも知らせようのない、自分でも形のおぼつかない夢のことを言葉にされるのは、実際に夢を見た人も見ていない人も、なんだか守られているような気がしました。
そしてこのメッセージが届いたある日、妊娠期の同じ時期にある読者の皆さまが、なんとなく窓の外をぼんやり眺めて、昨夜見た夢のことに思いを馳せているとしたら。
なんとも素敵なシンクロニシティです。
電線への愛着が功を奏してか、まるで街中の電波が目に見えるよう。
車窓からの景色は様々な想像を生んで、
やがて新宿駅へ電車が滑り込んでいきます。(了)