きずなメール・プロジェクト

お知らせ・ブログNews & Blog

父親の「育児参加」ではなく、父親が「育児当事者」になるための知識共有

2022年10月25日

広聴チームの三本松です。

今年7月の「きずなメール導入自治体 情報交換会」で紹介した2021年度の「統合データ」(※1)、クロス集計で見えてきた傾向を、前回のブログ記事に続き今回も紹介します。
※1「統合データ」:きずなメール事業で実施している各自治体での読者アンケートを合算して集計したもの。2021年度は23自治体の読者アンケートを合算集計した。回答者数は妊娠期N=952、子育て期N=6,690。

『きずなメールを家族と一緒に読む人ほど、「孤独感を感じていない」という傾向にある』について

このグラフは、「(アンケート回答者に)今の生活の中で孤独感を感じる時がありますか?」(選択肢はグラフ縦軸)の回答結果と、「読んでいる方について教えてください。」(選択肢はグラフ横軸)をクロス集計したものです。
※きずなメールの読者は母親が約9割です。

「自分だけで読んでいる」グループとそれ以外の何らかの形で家族と一緒に読んでいるグループの平均を比較すると、孤独感が“まったくない”“あまりない”の合計で11.6ポイントの差でした。

この結果の背景(要因)については色んな考え方ができそうです。昨年11月の児童虐待防止月間勉強会でお招きしたDataCast池田利基氏(専門:データ分析、社会心理学)が「分析結果をもとに意見交換するのが大事」とおっしゃっていたのを思い出しました。その手始めとして本記事では、“家族(主に父親)と読んでいる”と記述のあった自由式回答の一部を紹介します。

本アンケートの「きずなメールに対するご感想やエピソードがありましたら、ぜひお書きください」の自由記述です。
※以下、地域・自治体名は伏せています。スペースの都合上改行もつめていますが、他は原文のままです

【子育て期】

・成長に合わせた内容で気になっていたことや不安がとても柔らいだ。主人も登録しているため2人で子育てについて共有することができ、メールの内容を参考に子育てについての会話も多い。(子どもの母親(1人目)、30代、0歳0か月-0歳5か月)

・コロナ禍で中々人と関わる事ができず、孤独感を感じていますが、子育てママに寄り添ったラインで、勉強にもなるし、毎日来るのでひとりじゃないんだと思えたりします!また、旦那も自ら登録し、会話の一つになっています。(子どもの母親(1人目)、30代、0歳0か月-0歳5か月)

・夫にも登録をすすめ、読んでくれています。「今日で生後〇日目なんだね」等と、第1子の時にはしなかった会話をしています。なんてことない会話かもしれませんが、少しでも子育てに興味を持ってくれているのがわかるようになりました。(子どもの母親(2人目以上)、40代、0歳0か月-0歳5か月)

・父親も登録して読んでいます。積極的に子育てに関する情報を収集するタイプではないのですが、LINEで定期的に情報が届くので自然と目に入り良いサービスと思います。ぜひ継続してください。子どもの成長を感じられ励みになるので、100日以降も毎日届くと嬉しいです。(子どもの母親(2人目以上)、30代、生後4か月-7か月)

・夫とともに登録しています。雑談の中で、メルマガみた?という会話ができています。出産後に定期的に届くことにも、メールといえど、サポートいただいている感じがしてとても安心しました。(子どもの母親(1人目)、30代、0歳6か月-0歳11か月)

・いつも楽しみに読んでいます。パパも読んでくれていて、「今日はこんな話題だったね」と家庭内の会話や知識が増えました。コロナ禍で他の家庭や、医療や保育の先生方と情報共有がなかなかできないので助かっています。(子どもの母親(2人目以上)、30代、0歳0か月-0歳11か月)

・夫も登録しているのですが、本当にびっくりするくらいタイムリーな話が多く、よく「今日の子育てメルマガでさ」と会話のきっかけになることが多いです。夫は届いたらその場で読むと言っていました。私ももちろん届いたらすぐに読んでいます。いつも楽しみにしています。ありがとうございます。(子どもの母親(1人目)、40代、1歳0か月-1歳5か月)

・父親がLINEを読んで、こんなこと書いてあったね、こうしようね、と話してくれたり、子供の成長を一緒に喜べるのが嬉しい。あとは、子供の歯についての記事があったが、白い点みたいのがなくなることがあると書いてあって知っていたので、実際になくなったとき慌てずに済んだ。ありがとうございます。(子どもの母親(1人目)、30代、0歳6か月-0歳11か月)

【妊娠期】

・夫も登録しています。コロナ禍で、なかなか夫と一緒に受診したり教室に参加したりできないなか夫にも赤ちゃんのことを知ってもらえて嬉しい。分量も読みやすいです。いつもありがとうございます。(赤ちゃんの母親(1人目)、20代、妊娠4-6か月)

・主人と情報を共有出来てとても重宝しています。ありがとうございます!色んな家庭があるので難しいかもしれませんが、父親・家族向けのメッセージが増えると嬉しいです。(赤ちゃんの母親(1人目)、30代、妊娠7-9か月)

・妊娠出産に関する情報を積極的に取りにいかない夫でも、配信されるLINEはしっかりと読んでいるようなので、ありがたいです。父親としての自覚が足りないなと感じる場面があるため、父親向けのアドバイス、母親に対するサポートの必要性などをより多く配信していただけると、とてもありがたく思います。(赤ちゃんの母親(1人目)、30代、妊娠7-9か月)

・毎日夫と読むのを楽しみにしております。出産予定日まであと何日かも記載されており、毎日あと何日か~とお腹の子に会えるのを主人も出産を楽しみにしてくれているのだとこのメールを通しての夫婦の会話からよく伝わってきます。一日のはじまりに主人がそういうことを声に出して言ってくれるととても幸せな気分になって、今日も一日頑張ろうとなります。<自治体名>に住んでいてよかったなと感じるサービスの一つです。これからもメールを楽しみにしております。(赤ちゃんの母親(1人目)、30代、妊娠7-9か月)

・今回の2人目妊娠で初めてこちらを登録しました。内容が良かったので主人にも勧めたところ、毎日私より先にメールをチェックして内容を教えてくれるくらいでした。赤ちゃんについて、妊婦について、それぞれに書かれていて大変勉強になりました。体調が日々変化していく様子はなかなか自分では伝えにくいですが、このようにメールで詳しく届くと自然に主人の理解も深まって、一緒に妊娠期間を楽しめているように感じます。登録して本当に良かったです。出産までカウントダウンに入ってますが、引き続き毎日の情報を楽しみにしています。(赤ちゃんの母親(2人目以上)、40代、妊娠10か月)

* * *

情報の提供 → パートナーとの共有 →妊娠期や子育て期の喜び という循環が生まれていることが読み取れます。団体のビジョンの実現と重なりとても嬉しいです! 同時に以下のような意見も見逃せませんでした。

・父親向け専用のメール配信があればいいと思う。コロナ禍で病院も一緒い行けないし、なかなか積極的にアドバイスをもらえる状況ではない。本人はネットで調べたりはしているようだが、実際には妊婦の立場を理解してもらえない場合が多々ある。いちいち妊婦から今こうだよああだよ言うのも疲れる。毎日ではなくても週2回程度こういったメールでアドバイスをしてくれると意識は高まるのではと思った。(赤ちゃんの母親(1人目)、30代、妊娠4-6か月)

・24wでの超早産なので発達について当てはまらないところがあるけど参考になります。夫にも読ませたいですが面倒くさがって何かに登録するとかをしていません。母親側だけでなくもっと父親にも産前~産後の母子に関する情報を得させる方法があればいいなぁと思います。(子どもの母親(1人目)、30代、0歳0か月-0歳11か月)

・父親は母親に比べて、こういうサービスを登録することが少ないと思います。父親も積極的に登録するきっかけがあるといいなぁと思います。(子どもの母親(2人目以上)、30代、0歳0か月-0歳5か月)

・母親向けばかりのため、日によっては母親向けと父親向けをわけて配信してほしい。(子どもの父親(1人目)、30代、0歳0か月-0歳11か月)

・まだまだ男性の育児への参加は多くない。母親がメールを読んで父親の育児への参加や母親への体調の気遣いをなどのメールを見せても父親に見せてもイヤな顔されるだけ。もっと男性への育児への参加が当たり前になるように父親へのメール登録を強くうながしてくれたり、母子手帳は親子手帳へ改名したり、取りに行くのは父親で窓口でしっかり話をきくなど、講習参加への義務化など意識改革をして行って欲しい。昔ながらの男性の育児放棄がいまだ多く残っている!(子どもの母親(2人目以上)、40代、1歳0か月-1歳5か月)

* * *

最初のグラフ『きずなメールを家族と一緒に読む人ほど、「孤独感を感じていない」という傾向にある』に戻って、仮設を立てると、

■パートナーにきずなメールを勧められるような関係性であったり、パートナーが育児に積極的であったりする状態は、そもそも孤独感を感じにくい状況にある。

■反対に、そうでない状況にいる方に対しては、後半に紹介した記述にもあったように、第三者からのリコメンドが重要になっていくる

となり、父親が登録するきっかけづくりが大事になってきます。これに力を入れている自治体もあり、結果も出てくる頃ではありますが、団体でもこの課題に引き続き取り組んでいきたいと思います。

団体のビジョンである「新しい命の誕生に対し、社会全体から「おめでとう」の言葉があふれる世界」をいかに実現していけるか。父親に子育てに「参加」してもらうために国も力を入れていますが、きずなメールが父親が「育児当事者」になる最初のステップとし活用してもらえるよう、自治体と協働していきます。(了)

カテゴリ
ごとに見る
月ごとに
見る

お問い合わせ

きずなメールの活用・導入について、
その他の内容に関しても、
お気軽にお問い合わせください。

03-6709-6893平日:10時〜16時