「保育園や幼稚園に関して具体的で詳細な情報がほしい」の声
広聴チームの三本松です。7月に「きずなメール導入自治体 情報交換会」があり、意見交換の時間で話題にあがったのが、情報の届け方に関すること。近年行政(自治体)は市民に情報を届ける手段として、LINE等への移行を進めていますが、現場は手探りで進めている印象です。
自治体のきずなメール事業は、医療監修された妊娠・子育てのメッセージ(胎児の様子・子供の発達成長や子育てアドバイス等の原稿)とともに、自治体の子育て支援情報も届けています。年に一度実施する広聴アンケート(読者アンケート)でも、情報に関する問いがありますので、今回はここから話をひろげていきたいと思います。
自治体のきずなメール事業について、「情報量を増やしてほしいものはありますか?」と聞いた項目の過去3年のデータ(各自治体で実施したアンケートの合算集計)を比較してみたところ、妊娠期で変化がありました。
(妊娠期の読者へのアンケート結果)
大きくポイントが上がったのが、「市/区等の子育て支援サービスに関する情報」。2019年度が44.2%、2020年度が49.9%、2021年度が60.3%と増加しています。新型コロナウイルスも影響してか、自治体の情報へのニーズが増していることが伺えます。
では、具体的にどんな情報が必要とされているのでしょうか。広聴アンケートの主な設問は全自治体で共通ですが、自治体側が自由に設定できる設問もあります。その範囲内で、いくつかの自治体は、「どんな情報がほしいですか?」と質問をしていました。設問文は自治体によって異なりますが、回答99件の中身から主だった内容を整理してみました。今回取り上げるのは妊娠期の読者の回答で、下記の通りです。
①保育園・幼稚園の情報(園そのものの情報、申請方法、申請スケジュール)
②両親学級の情報(開催のスケジュール(申し込み開始日も)、オンラインでもやっているのか)
③妊娠期、出産後に受けられる子育て支援サービス情報(種類、使える条件、申請方法、スケジュール)
④交流の場、子育てサロン情報(地域で集まる場やコミュニティがあるか、親子で参加出来るイベント)
⑤コロナに関する情報(中止の連絡に留まらず代替案を示してほしい、感染したらどうすればよいか、ホームステイの遊び方・ストレス発散方法、ワクチンのメリット・デメリット、妊婦、新生児に関する感染症等の最新情報)
⑥子育て・育児に関すること(出産準備、子どもとの接し方、発育、離乳食、育児に対する考え方・・・etc
具体的には、
「医療費の詳しい内容等もっと発信して欲しい。」
「子育てサロンの情報。どんなイベントを行なっているか中身が見えると嬉しいです。」
「保育園や幼稚園に関して具体的で詳細な情報がほしい。」
といった風な書き方が多く見られました。
また、「両親学級が開催していない。情報が欲しい。どこを見たらよいかわからない。」という、そもそも情報にたどりつけないという声や、「妊婦面談の際は、ちょうどつわりがひどく、それどころじゃなかったので(記憶がない)、安定期に入ってから、もう一度、メルマガで情報を流してほしい。」といった声もありました。
「きずなメール」は設立時当初は「メール」で配信する自治体が多かったですが、今はLINEが主流となっています。そのLINE活用方法も自治体によって、情報を複合的に発信するもの(子育て世帯だけでなく、高齢者も単身者も皆を対象としたもの)と、子育てに特化して発信するものとがあります。
また近年子育て分野で言いますと、子育てアプリを導入または検討している自治体も多数あります。きずなメールを受け取る側も、メール、LINE、アプリと様々になってきました。実際に運用しつつ、市民から届いた声等を反映し、いったりきたりして、安定したメディア(媒体。ユーザー側からみて使いやすいもの)になっていくのかなと思いますし、その過程で淘汰されるものもあるかもしれません。
きずなメール事業は、毎日(定期的に)配信するメッセージにより、自治体と市民がゆるやかにつながり続けるというセーフティーネットとしての側面があります。その点からみると、安定したメディアであるかどうかが、セーフティーネットとして機能するかどうかために欠かせない条件です。広聴チームとしても子育て世帯の情報環境の変化も引き続き注目していきたいと思っています。