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開催報告 【11月児童虐待防止推進月間勉強会】8426人から見えた、コロナ禍での妊娠・出産、子育て世代の実態 『孤育て』を予防するために必要な支援とは

2021年12月8日


広聴チームの西川です。
11月25日、【11月児童虐待防止推進月間勉強会】を開催しましたので報告いたします。13名のご参加いただきました皆さま、ありがとうございました。

  • 妊娠・出産・子育てにまつわる社会課題と団体の取組について
  • 第1部DataCast池田氏による分析結果の発表
  • 第2部自由記述に集まった個別のエピソード、グループディスカッション

■妊娠・出産・子育てにまつわる社会課題と団体の取組について
会の初めは代表大島からきずなメールの事業紹介と今回の勉強会のテーマである「統合データ」の作成の経緯について話がありました。これまで団体は全国32自治体と協働を実施し妊産婦さんや乳幼児を子育て中の方、そのご家族などにテキストメッセージを届けてきました。また活動による累計配信者数は23万7086人(10月末時点)となっています。今後も解消したい社会課題にアプローチするため、より一層スピード感をもって展開していくことが求められています。
そして、今回の勉強会のテーマである「統合データ」は2021年度からの試みとして全国22自治体の読者アンケートを合算統合し作成した経緯があります。きずなメールの活動を公益増進につなげる新しい取り組みとなりました。

 ■第1部DataCast池田氏による分析結果の発表                     「科学的なデータをもとに行う支援がやさしい」という考えで活動をされているDataCast池田利基氏からの発表です。今回の「きずなメール」が年に1度行っている、北海道から鹿児島県まで22の自治体で産前・産後のご家族からお答えいただいた8426人の読者アンケートを、「専門家が制作監修したテキストメッセージの効果」としての分析結果を発表していただきました。

●テキストメッセージはだれに効果があるのか?                         産前の場合、メールの受信月数とメールの読む頻度がテキストメッセージの効果と関係があり、テキストメッセージに触れる機会が多ければ多いほど効果が高いとのこと。                         産後の場合は、メールの受信月数が長い人、メールを読む頻度が高い人、に加えて、働いている人と子どもが幼い人という属性の人々に効果があるという分析結果でした。
●テキストメッセージには誰にどのような効果があるのか?                       「心理ストレスの軽減」「家族関係の改善」「行政へのアクセシビリティの増加」の3つの効果に分けて効果の分析をした結果、産後のデータに有意な反応があり、「心理ストレスの低減」に最も効果が見られました。「行政へのアクセシビリティの増加」、「家族関係の改善」と後に続きます。                                     1つ目の「心理ストレスの低減」はメールを読む頻度が多い人と子どもが幼い人という属性の人々に効果があるといえます。2つ目に「行政へのアクセシビリティの増加」は、メールを読む頻度が多いという属性の人々のみに効果が見られました。3つ目に「家族関係の改善」は、すべての属性において有意な関連性がみられました。産休・育休中のグループに家族関係の改善が見られたのは、池田氏によると「育休中のほうが働いている人よりも家族と過ごす時間が長く、家族関係の軋轢が生じやすく、改善の伸びしろが高かったのでは」とのこと。
また「数値化やデータ分析解析に適したNPOの活動は」との質問に対し、「規模が大きく標本数が多いこと。標本数がたくさんあると統計的に議論がしやすく、分析しやすい。またその分析結果をもとに全国に波及させていくという目的がある場合などは数値化し、成果の再現性のために結果を分析・解析することは大事」(池田氏)との返答でした。
■第2部自由記述に集まった個別のエピソード、グループディスカッション                                      第2部はある自治体の2021年度読者アンケートの自由記述に集まった個別のエピソードの紹介をし、それをもとにグループディスカッションを実施しました。読者アンケートはきずなメールに登録している2,083人のうち、348人から回答を得ました。本会のテーマにあった3つの質問を共有しました。
①今これに回答するあなた自身の体調はいかがですか?
1つ目は、回答者の体調について聞いたものです。「あまりよくない」「よくない」は合わせて5.8%でした。

②今の生活の中で孤独感を感じる時がありますか?
子育て期では「頻繫にある」「時々ある」を合わせると33.7%で、その 「頻繁にある」「時々ある」という方は、それはどんな時ですか? の質問に対する自由記述が下です。ひとり育児やコロナ禍での子育てで感じる孤独感、頼れる人がいないと感じる際に孤独感を感じるとの回答が上位を占めています。ちなみに、この自治体の妊娠期でも同じ質問をしており、妊娠期では、「頻繫にある」「時々ある」を合わせると19.4%でした。他の自治体でもそうでしたが、子育て期の方が孤独感を感じる割合が高くなっています。

③現在子育てをしながら、子どもが生まれる前には「想定していなかった」「知らなかった」ということがありましたら、ぜひ教えて下さい。
この質問では「負担の重さ」が14.8%回答があり、下記はその回答の一部で様々な状況が伝わってきます。

広聴チームからの自由記述の紹介をふまえて、先ほどのグループで最後のグループディスカッションに入りました。                                                 そのグループディスカッションでの印象に残ったやりとりをご紹介させていただきます。

◎母親にかかる負担が重すぎる気がしている。コロナで会えない期間中、サポートってどうなってるんだろう?と不安に思っていた。
◎コロナを市として考えるなら、安心して子育てできる環境をつくっていきたい。産後ケアがとても大事と考えているが、使えるものが当事者に届かないことも。いかに当事者につたえるかが課題。もっとよい産後ケアのスタート支援。それをどうやってというのはなかなか難しい。                                     ◎意見といいますか、私の活動でもアンケートをとろうとなるが、データを活用しきれていないというのは課題だなと。
参加いただきました皆さまには日ごろの貴重な活動のお話を聞かせていただきありがとうございました。
広聴チームに所属する筆者としては、12月から読者アンケートが届きますので読者の皆さまの声を取りこぼさずにしっかりくみあげて、自治体担当者と担当課に共有し、子育てしやすい地域づくりを支えていければと思います。
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