きずなメール・プロジェクト

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【情報提供】自治体が平時からオンラインで「妊娠期~子育て期の保護者」とつながり続ける仕組みを持つことが、緊急時の情報発信に活きた。

2020年9月2日

新型コロナウイルスの影響により、自治体の中心的な情報発信を担ってきた広報誌の作成配下が難しくなったことで、自治体からの最新情報を住民へ届けるためには様々なツールを活用していく必要があることも浮き彫りになった。平時から住民とオンラインでのつながりを持ち続けていた文京区では、この期間どのように住民へ情報提供を行ったのか、事業担当者のメッセージとともに事例を紹介する。

1.緊急事態宣言でおこったこと

新型コロナウイルスの拡大を抑えるために、今まで自治体が実施していた対面支援の中断が余儀なくされた。対面支援に注力していた母子保健の分野においては、母子手帳交付にはじまり、妊娠週数に応じた両親学級、保健師などによる訪問面談、乳児検診、保護者同志のコミュニケーションの場/自治体との接点のひとつでもある子育て広場の休場など、多くの事業やイベントが現在も延期または中止されている。
これまで自治体の中心的な情報発信を担ってきた広報誌の作成配下が難しくなったことで、自治体からの最新情報を住民へ届けるためには様々なツールを活用していく必要があることも浮き彫りになった。

2.オンラインで住民とつながりを持ち続けていた文京区

東京都文京区では、2013年に子育て世代への情報発信を強化するため「文京区子育て応援メールマガジン」を導入。(NPO法人きずなメール・プロジェクト(東京都杉並区/以下、団体)との協働)約7年間、妊産婦~子育て世帯に切れ目なく支援情報を届けてきた。また、子育て応援メールを通してイベントや講座の案内をすると、参加や利用が増える等の理由から、今では担当課にとどまらず、庁内全体で確かな情報提供ツールとして認識され、活用されている。利用者についても、文京区民の0歳から2歳(産後の配信対象年齢)の70%が登録(⋆1)しており、区民から「自治体からの支援を受け取れるツール」として認知が高いことがうかがえる。(⋆1)文京区子育て支援課:事業担当者調べ

3.コロナ禍における情報提供にも効果を発揮した「オンラインでのつながり」

文京区では、コロナ禍においても自治体から住民への連絡、情報提供手段として、「文京区子育て応援メールマガジン」を活用した。

突発的な事態への対応として、講座やイベント等の事業の開催延期や中止連絡を随時送付。また、平時と同様に、妊娠週数や子供の年齢に応じたメッセージや子育てアドバイスを切れ目なく配信し続けた。そこに、区が提供している新型コロナウイルスに関する情報が掲載されたWebサイトのURLや「#みんなで乗りこえよう」というメッセージを添えた。

また、区では成澤区長が「新型コロナウイルス感染予防のために外出できずお困りの区民の方に、いち早く情報をお届けしたい」と思案されたことをきっかけに、未就学児の子供を持つ区内の全世帯にむけて、はがきで新型コロナウイルスに関する支援情報と「文京区子育て応援メールマガジン」の登録案内を郵送。「素早い最新情報の提供」と、「ハガキを受け取った区民の方が自治体と繋がり、今後もオンラインで情報を受け取り続けられるよう支援すること」を同時に実現した。

■コロナ禍における事業活用について 文京区 事業担当者からのメッセージ

今回、とてもやりがいのある仕事ができたなと思っていたのですが、区民の方に共感していただけるか、どういう結果が出るかドキドキしていました。うまくいってほしいと思いつつも、結果が出るのを待っていましたから。
5月になって、団体からうれしいご報告をいただいて本当にびっくりしました!
想像以上でしたね。

とくに、産後の新規登録は通常月の3~4倍にアップしました!
ハガキ発送日の翌日には通常の1日あたり15倍くらいの登録がありました。
いつもは一桁の登録数ですが、発送翌日から6日間は二桁の登録数が続いたのには、本当に驚きました。
また、ハガキにはきずなメール・プロジェクトの「大丈夫三兄弟」のイラストを使用させていただき、親しみやすい雰囲気で区の相談窓口や、お家で楽しめる手遊び動画のご紹介をあわせて掲載させていただきました。

緊急事態宣言下において、外出自粛を迫られる中、日頃送られてくるメールマガジンには、きずなメールさんからのご意向で「#みんなで乗りこえよう!」と応援メッセージをカスタマイズしてくださったので、読者の皆さんの励みにもなったことと思っています。

区の情報提供事業として、8年目を迎えますが、今回のような緊急事態においても、いつも通り子育て情報を配信し続け、あわせて応援メッセージがお届けできたことに感謝しております。また、不安な状況の中、これだけの成果をあげることができ、とても有意義な事業だと改めて思いました。

6月からは年齢を3歳未満のお子さんがいらっしゃるご家庭への内容から5歳向けに拡充したので、更にこれからの登録数の経過を楽しみに見守っていきたいと思っています。

4.これから必要とされる自治体の支援とは

新型コロナウイルスにより緊急事態宣言が出された5月、日本全国27の自治体で活用されている「きずなメール事業」全体の新規登録者は、4月と比べて1.5~2倍(⋆2)に増えた。
このことから、住民自ら行政とつながり、安心安全な最新情報をオンラインで得る必要性を強く感じていることがうかがえる。
新型コロナウイルスの第二波や、これから必ず発生する台風、いつおこるかわからない地震の発生等を考えると、今まで自治体が重点的に取り組んできた「対面支援」に少しでも早く「オンライン支援」を追加し、両方が補い合って、本当の意味での切れ目のない支援を実現する環境整備が必要と考える。
(⋆2)弊団体が管理している配信システムにおける新規登録者

■「自治体とNPOが協働し、住民が地域と繋がりを持てるよう支援していくこと」について、国立精神・神経医療研究センター認知行動療法センター 精神科医:中嶋愛一郎先生からのメッセージ

「孤独感は、うつや不安が生じ悪化してしまう大きな要因になります。
産後の子育ては、特に孤立感を感じやすい時期ですので、どのように誰かと繋がるか、サポートを受けるかはとても重要だと思います。

各自治体には、ほぼ全ての妊婦さんが母子健康手帳の申請や出生届の届出でいらっしゃいます。各自治体できずなメールを紹介してもらうことで、情報収集することが苦手な方にも広く役立ててもらうことができると思います。
また、私も子育てを通して、地元の自治体の方が色々なことを考えて、様々なサポートを準備していらっしゃることを知りました。

各自治体と協力して作成したメッセージには、 妊娠週数や子どもの日齢に合わせた自治体からの役立つ情報が載っています。
これらのメッセージが、適切なサポートを受けたり、地域との繋がりを持つきっかけになったりしていると思います。」

中嶋愛一郎先生は2020年4月から実施している、国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター(NCNP)認知行動療法センターと弊団体との共同研究「テキストメッセージングによる周産期の父親のメンタルヘルス向上のためのランダム化比較試験」の責任研究者の一人です。

▶詳細はこちらから https://www.kizunamail.com/news/9457/
(NCNP)認知行動療法センターの研究チーム/責任者 蟹江絢子医師、中嶋愛一郎医師

===その他参考===

■文京区は読者の声に応え、事業開始から7年目の2020年6月、配信年齢を6歳誕生日まで拡充。
https://www.kizunamail.com/news/9513/

■自治体とNPOが協働で取り組んだ【#みんなで乗りこえよう】のメッセージ配信
https://www.kizunamail.com/news/9314/

早い段階で緊急事態宣言が出された地域の13自治体(東京都文京区/東京都中央区/東京都江東区/茨城県常陸太田市/茨城県龍ヶ崎市/茨城県つくば市/埼玉県本庄市/東京都東久留米市/東京都大田区/北海道苫小牧市/兵庫県宝塚市/神奈川県大和市/埼玉県富士見市)で実施。約30,000人以上の妊娠期~子育て期の保護者達にメッセージを届け続けている。

PDF版は こちらからダウンロード いただけます。

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