【レポート】外国人住民子育て支援フォーラム2019
こんにちは。コンテンツ担当の松本です。
8月24日(土)に横浜市でかながわ国際交流財団主催の「外国人住民子育て支援フォーラム2019」が開催されました。
今回のフォーラムは、医療機関や自治体の窓口、子育てひろば等で日々、外国人住民の子育て支援を実践されている方々が集まるということで、コンテンツ担当として、少しでも現状を知りたい、実践者の経験を聞きたいと思い、参加してきました。
~主催のかながわ国際交流財団(KIF)の発表から~
- 外国人住民は10年前から50万人も増えている。
2018年6月時点で過去最多の263万人。(日本の全人口は1億260万人) - 日本全国で生まれる赤ちゃんのうち、両親どちらかが外国籍の赤ちゃんは全国で27人に1人。
神奈川県では20人に1人。東京都は15人に1人。 - KIFでは、多文化共生の「子育て支援事業」を2014年から開始。
最初は子どもの就学支援などが主だったが、「学齢期以前の子に向けた支援が手薄」「保護者に情報やサービスが届いていない」と気づき、2015年度に神奈川県内を対象に、「外国人住民への子育て支援に関わる調査」を実施。
その結果として、母子保健・子育て支援の現場では、大きく次の3つの課題があることを把握。
- 外国人が日本の制度・仕組みをわからない(知らない・理解していない)
- 外国人が相談相手が得にくく、孤立しやすい
- 支援者も外国人のニーズや事情がわからない
そこで、課題解決に向けてKIFが3つのことを行っている。
1)外国人への情報提供
2)コミュニケーション促進
3)支援者への情報提供・研修
1)の情報提供としては、外国人住民のための子育てチャートを作成したり、動画を作成したり。
2)のコミュニケーション促進のために、多言語ナビかながわという問合せ窓口をつくったり。
3)支援者への情報提供としてガイドブックを作成し、そして今年はこのフォーラムを開催したり。
多言語ナビかながわは、10の言語とやさしい日本語で案内
~「外国人子育ての現場から」実例報告から~
- ベトナム人妊婦教室を実施している産婦人科の助産師
- 外国人妊婦や子育て家庭を担当する自治体の保健師
- 自治体の管理栄養士が外国人親子へ栄養や健康教育をしてみて気付いた事
- 地域子育て支援拠点(子育てひろば)での取り組み
「訪問事業では、訪問を終えた時に『またね』ということばを大事にしています」
「陣痛が起きたら病院に電話する。その電話のかけ方をとにかくロールプレイングで覚えてもらっています」
「日本ではあまり例がないけれど、哺乳瓶にジュースを入れて飲ませるのが普通の感覚の国もある」
「子育てひろばなどでは、スタッフも来ているお母さんも『英語話せます』『中国語OK』といった名札を着けていてもらえると、とてもうれしい」
こうした実践したからこそわかるコツや情報が集まることで、支援も手厚くなっていくのだなと感じます。
そして、ワークショップ後半では、5~7名がひとつの輪になってディスカッション。私の入った輪では、『行政・地域で支えるためには』をテーマに、子育てひろば、行政の子育て支援課、KIF、日本語教室を開催する団体から参加して方々と、「当事者とつながるためにはどうしたらいいんだろう」「そのための財源ってどうする?」といったお話をしました。
~最後に~
3時間半があっという間に感じられる、充実の実例報告とワークショップでした。ワークで同じ班になったKIFの理事の方が、「外国人住民の子育て支援事業をやりたいんです!といって入職したスタッフが事業をすすめて5年。ひとりの『やりたい』という強い想いがあると、ここまで来るのですね」とおっしゃっていたのが印象的でした。
きずなメールでも、2017年のMAMA翻訳プロジェクトから3年。
やりたいと手をあげた担当がひとり加わったことで、前に進んでいるなと感じます。