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日本で最初のマタニティマーク「BABY in ME」インタビュー①

2011年4月13日

シリーズ/妊婦さんを支える人々  

日本で最初のマタニティマーク「BABY in ME」
村松純子さん インタビュー①

(全3回)  

皆さんはこの↓マタニティマークをご存知ですか?

baby in me

これは1999年に発表された日本初、いや世界初のマタニティマーク「BABY in ME」です。可愛らしくて親しみやすいこのマークは、発表とともに少しずつ口コミで広まり、2006年に発表された厚労省のマークが知られるようになった今も、日本各地の妊婦さんたちに根強く支持され続けています。

「BABY in ME」の考案者は、村松純子さん。本業であるライター、コピーライター業の傍ら、個人で「BABY in ME」のデザインを発案し普及活動を続け、今年で12年目です。マタニティ支援活動の先駆者ともいえる村松さんに、インタビューしました。

BABY in ME 村松純子さん

村松純子さん近影

* * * * * *

――当時はなかった「マタニティマーク」という発想はどこから生まれたのでしょうか。

BABY in MEのマークを作る数年前に、友人が妊娠しました。その友人とは当時、ある出版社で一緒に本を出すことになっていたのですが、オウム真理教が世間を騒がしていた時期で、出版社はどこもものものしい雰囲気。妊娠中の友人と打ち合わせに行く時も、彼女のことが心配で心配で。私自身も周りにも妊娠を経験した人がいませんでしたから。

ある時、打ち合わせの最中にその友人が気持ち悪くなって、途中で帰ることになりました。私は心配なので「タクシーで」というと、友人は「タクシーは揺れで気持ち悪くなる。電車の方がマイペースで行けるから」と。

後日「電車で席を譲ってもらえた?」と聞くと、「夜の電車で若い女性が気持ち悪そうにしていていると、酔っ払いと間違われて身を引かれることはあっても、席を譲ってもらったり、“大丈夫?”なんて言葉をかけてもらえることはまずないわよ」と聞いて、驚きました。そのときに「何か妊娠中だとわかるものがあればいいよね」という話になったのが、きっかけです。

でも具体的な形にならないまま時間がたち、ある時私自身が大きく体調を崩してしまいました。実はこの時初めて、「立っていられないほど辛い」ということが実感として理解できたんです。それまでは頭ではわかっていても、自分の若さもあって、妊娠中の友人の辛さに「共感」するまでではなかったんですね。

しかも妊婦さんの場合は、この同じ辛さが、自分独りじゃなくてお腹の赤ちゃんにも影響するかもしれません。そこで「妊婦さんが安心できる方法はないか」と、具体的に考え始めました。

――こうして考え出されたBABY in MEの絵柄は、実際に完成するまでに1年以上もかかったそうですが。

「BABY in ME」という言葉はすぐに出てきました。でもそれをどういう絵柄で表すかは、本当に悩みました。あらゆるモチーフを考えて、動物ならパンダ、カンガルー、コアラなんかも。ピンクリボン(※)のような抽象的なマークもいいかと。

※ピンクリボン(Pink ribbon)…乳がんの正しい知識を広め、乳がん検診の早期受診を推進すること、などを目的としてに行われる世界規模の啓発キャンペーン、もしくはそのシンボル。

でも最後に至った結論は「妊婦さんのシルエットは外せない」というもの。そこから逃げないで、正面から受け止めないと、と感じました。

女性の感覚としてどこが一番微妙かというと、妊婦さん特有のシルエットではないか思いました。お腹が大きくなるとともに、自分の体中にもう一つの命があるという実感が増してきて、そこに不安があったり、自分がしっかりしなきゃという気持ちがあったり。妊娠してお腹がどんどん大きくなるのは、ある意味特殊な状況です。それに対する恥ずかしさ、戸惑い、不安を象徴しているのが、妊婦さん特有のシルエットではないかと。

当時「マタニティ」といえば、ジャンパースカートのようなマタニティウェアのイメージくらいしかなくて、「妊娠初期」という言葉すらあまり知られていませんでした。今と違って情報が少なくて、妊婦さんや妊娠そのものに対する理解も今ほどではありませんでした。

今ならマタニティマークに、例えば漢字で「妊娠中」と書いてあっても大丈夫かもしれませんが、当時そういう事をすると、マークを見る人だけでなく、付ける妊婦さんもちょっと敬遠してしまうような空気。

だからできるだけ、絵柄だけで伝えたかった。絵に人を引きつける何かがあれば、見た人が最初は意味がわからなくても、なんとなく察して気持ちが動く、行動に自然と結びつくようなデザイン。“にっこり感”や“ほっこり感”みたいなもので気持ちがプラスに動く、というようことを大切にしたかったんです。

それと、絵の意味を察してくれるような人なら、妊婦さんに手を差し伸べてくれるかもしれないとも思いました。

最終的には自分で基本のラフを書いて、それを本職のデザイナーさんに仕上げていただきました。

BABY in ME ラフ

村松さんが描いたラフ。この元にしてBABY in MEのマークが誕生した。

(インタビュー②につづく)

 

BABY in ME(R)とBABY in MEマタニティバッジは、日本助産学会推薦、(社)日本助産師会東京都支部推奨。
マタニティマークのパイオニア「BABY in ME」公式サイト

 

 

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