子を案ずる自然な気持ちから始める「性交渉の話」/「学童期・思春期メッセージ」第21回編集会議開催報告
コンテンツチームの荻原です。
きずなメールは「テキストでつながり続けるセーフティネット」です。2025年4月24日現在、6万583人の読者の方とつながり続けています。
より長くつながり続けるために現在、18歳までの「学童期・思春期メッセージ」をブラッシュアップするための編集会議を、オンラインで月1回、開催しています。
第21回の5月13日は、4名の医師と、5名のきずなメールスタッフが参加しました。
この学童期思春期メッセージは、段階を踏んで育てていく原稿です。
現在、第2段階のアップデートが終了しています。
どのような内容が追加されたかは、第13回編集会議開催報告をご参照ください。
今回は、子どものインターネット環境に関する原稿、性の多様性についての原稿、性交渉に関する原稿の検討を進めました。
【コンテンツ担当の思索録】子を案ずる自然な気持ちから始める「性交渉の話」
前回の、第20回の編集会議時に、監修の医師より「性交渉についての原稿は現在、高2となっているが、もっと早くてもいいのではないか」というご意見をいただきました。
それを踏まえて原稿検討を行い、今回の会議に臨みました。
医師たちより、新しく大切な観点をいただいたので共有します。
性交渉について親が伝えることはなんだろう?
月経や精通を迎えるタイミングで、からだの方は、「赤ちゃんをつくることのできる準備」ができていることになります。
私はこのタイミングを、親から子へ話をするためのよいきっかけだなと考えました。
きっかけのあるときに、妊娠の仕組みや可能性、避妊について子どもの知識をしっかり増やしておくということは、必要なことではないかと考えたからです。
子どもは「妊娠」とは関係なく性交渉を捉えている?
一方で、ひとりの医師からこのような意見をいただきました。
「子どもは、性交渉を出産とは結びつけて考えていないのではないか?
オブラートに妊娠の仕組みを伝えるということで、ほんとうにいいのか?」
つまり、「性交渉によって望まぬ妊娠につながらないか心配だ」ということをストレートに伝えることは難しいことも多いので、その代わりに「性交渉をすると妊娠する(させる)可能性がある」という知識として伝えることが、本当に代わりになりうるのか、ということだと思いました。
たしかに、遠回しに知識として妊娠の仕組みや可能性を伝えても、「伝わる」言葉にはならないかもしれません。
誰にでも「伝わる」言葉は難しい
もちろん子どもによって性への興味関心は千差万別で、親との関係性も様々です。
「誰にでも伝わる言葉」なんていう万能なものはないのですが、それでもより多くの人に「伝わる」言葉やタイミングを模索していくのが私たちの仕事です。
そう考えたときに、もっといいやり方があるのではないかと医師たちと言葉を交わしていきました。
病気の観点から性交渉を伝えるという方法
性への興味関心や親との関係性は千差万別ですが、「性交渉によって感染する病気がある」ことは客観的事実の一つです。
そして、子どもが病気にかからないか心配することは、思春期に限らず、親の自然な気持ちです。
今は、梅毒が増加していたり、HPVワクチンの接種など、性交渉にかかわる病気のニュースもよく聞かれます。
話のきっかけとしては、話題に出しやすいかもしれません。
実際にどんな言葉で伝えるのがいいのか、次回にむけて考えていくところですが、
今回の編集会議の中で、ある医師が印象的でした。
「例えば、“最近梅毒が流行っているらしいが、お前大丈夫か?”とか、このくらいの方がいいんじゃないですかね」
父親でもある男性医師が、ご自身のお子さんにこんな言い方で伝えている想像がふと浮かんでしまいました。
「家庭での性教育」「親子で性の話をすること」について、その必要性を感じながらも自然な会話の中ではなかなか出しづらいと感じる親は多いことでしょう。
だからなおのこと、その家庭に合った距離感で、その家庭に合った言葉で、自然に言葉が出てくるようなお手伝いになればいいな、という思いがよぎります。
性の話は、私自身も妊娠や恋愛と結びつけがちでしたが、病気の観点から、家庭で話題に出しやすい形を目指して、原稿検討をしてみたいと感じました。(了)