セーフティネットを機能させるために最も重要な「AU(アクティブユーザー)数」とは
きずなメール・プロジェクト 協働パートナーの井上です。
「きずなメール事業」は、妊娠初期から 3 歳誕生日まで LINE・メール等でテキストメッセージを継続的にプッシュ配信することで、「弱いきずなでつながり続けるセーフティネット」として機能させ、子育て当事者の社会的孤立を防ぐ事業としての理解促進を進めています。
「セーフティネット」とは「網」であり、「アクティブユーザー数」(講読する市民の数。以下「AU数」)は「セーフティネットの目の細かさ」です。「AU数を増やすこと」は自治体にとって、予算規模を変えず市民とのつながりを増やすことになるので、税金の有効活用に直結します。
きずなメール事業は今後、「セーフティネットの目をできる限り細やかにして、維持していくアクション」に取り組んでいきます。このためには、正確なAU数を知ることが欠かせません。だから毎月下旬の任意の日時でのAU数を取得して、その後団体内でレビューしてスタッフ間で共有しています。具体的には、下記の通りです。
■毎月下旬の、任意の計測日時でのAU数
団体配信システムからのデータ取得時点で、
妊娠期:4 週 0 日~41 週 6 日の対象期間にいる「配信中」のユーザー数
育児期:生まれて 0 日~配信終了を設定した日(3歳誕生日から18歳までなど、アカウントにより異なる)の対象期間にいる「配信中」のユーザー数
自治体には、上記とは異なり、月末時点のAU数を報告してます。
また、アプリ等の団体以外のシステムから配信している自治体には、団体宛に毎月数値をお教えいただいています。「つながり続けるセーフティネット」へのご協力ありがとうございます。
今、何人の読者とつながり続けているかは、セーフティネットを維持していくために重要であり、そのセーフティネットの目を保って、さらに細やかさにしてくためのは、コップの水が毎日、自動的に少しずつ増えていくような【仕組み作り】が必須です。
なぜなら、多くの自治体では3歳誕生日できずなメールの購読が完了して読者として卒業するからです。卒業した読者の数と同じか、それ以上に新しい読者が増えていかないと、セーフティネットの目はスカスカになっていきます。だからといって、新規読者を募るキャンペーンのようなものだと、増えるのはそのときだけ。だから、常に新しい読者に登録してもらう、恒常的な【仕組みづくり】が重要です。
そのために、団体では毎年下記のようなご案内をお送りしています。
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【ご提案】きずなメール事業を孤独・孤立を防ぐ「つながり続けるセーフティネット」として活用していただくためのご提案
2024年5月24日
関係者各位
特定非営利活動法人きずなメール ・プロジェクト
代表理事 大島由起雄
きずなメール事業を孤独・孤立を防ぐ「つながり続けるセーフティネット」として活用していただくためのご提案
平素よりお世話になっております。きずなメール事業を孤独・孤立を防ぐ「つながり続けるセーフティネット」として活用していただくため、下記の2つを提案いたします。
1)きずなメール事業の令和7年から「子ども子育て支援計画」への組み入れ
以下、ご説明致します。
令和5年12月22日のこども大綱に、下記の文言が入りました。
こども・若者や家庭に支援を届けるに当たっては、支援が必要でも自覚できないなどSOSを発すること自体が困難、相談支援の情報を知らない、知っていたとしても申請が複雑で難しいといった課題があるほか、SOSを発しても周囲が受け取れていないことがある。こども・若者や家庭が、必要な情報を得られ、必要な支援を受けられるよう、地域における関係機関やNPO等の民間団体等が連携し、当事者に寄り添いつつ、プッシュ型・アウトリーチ型の支援を届ける。
とはいえプッシュ型は、プッシュしすぎると「不要な情報」としてブロックや未読のまま放置され、肝心の支援情報が届かない「プッシュ型のジレンマ」の課題があります。
きずなメールは2010年の設立時から、孤独・孤立を防ぐ「プッシュ型」のテキストメセージとして、「内容」「届けるタイミング」「文字量」のすべてにおいて「押し付け」にならない配慮を徹底し、「プッシュ型のジレンマ」を「つながり続ける機会」に変える取り組みを重ねてきました。
これにより近年は、「子ども子育て支援計画」に「子育て家庭の孤立防止」「育児不安軽減」「産後うつ予防」「児童虐待予防/未然防止」の施策として明記してくださる自治体様も増えてきています。
多くの自治体において、「子ども子育て支援計画」は令和7年度改定となります。国が示す「プッシュ型の支援」および「伴走型相談支援」を有効機能させるためにも、きずなメール事業を貴自治体の「子ども子育て支援計画」、もしくはこれに準ずる市区町村の事業計画への明記をお願いできれば幸いです。
2)妊娠期の「新規登録促し」の仕組み化
(すでに「仕組み化」してくださっている自治体様はご容赦ください)
きずなメール事業は「つながり続けるセーフティネット」として、「その日その時点の読者の数」すなわち「アクティブユーザー数」(報告書における「配信中」数。以下、「AU数」)を重視しています。「アクティブユーザー数」=「網の目の細やかさ」です。
きずなメールは3歳誕生日で配信が終わる(自治体による)ので、新規登録がないとAU数は減ります。セーフティネットとしてのAU数を維持、拡大するために、とくに妊娠期の「新規登録促し」の仕組み化をお勧めしています。
社会インフラとして多忙を極める各自治体様それぞれに固有の事情があると存じますので、可能な範囲でご検討いただければ幸いです。
情報洪水時代の今、住民と「ゆるやかにつながり続ける」のは基礎自治体、非営利組織等「公共」の責務です。「公共」は最後のセーフティネット。きずなメール・プロジェクトは、これを読んでくださる方々を独りにすることはありません。住民に「正しい情報」「自治体の思いやメッセージ」が届く仕組み作りをご一緒できれば幸いです。気持ちはあるがどうすればいいかわからないという方は、団体の協働パートナーに、いつでも気軽にご相談ください。
以上
(参考)
過去3年の、きずなメール事業全体のAU数推移は下記の通りです。
2021年度 36706
2022年度 46396
2023年度 56813
2024年4月26日現在、5万6813人の子育て当事者と、テキストでつながり続けています。
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きずなメール事業を担当されている自治体の職員の方々も部署の異動があるなど、きずなメール事業を初めて知る方もいらっしゃいます。年度初めには必ずこのような形で改めてお伝えする機会を設け、事業活用におけるベストな【仕組みづくり】の提案していきます。
(了)