思春期のこどもを対象とした予防の取り組み/子ども虐待防止学会第29回滋賀大会 参加レポート
広聴チームの三本松です。日本子ども虐待防止学会 滋賀大会(11/25-26)に今年も行ってきました。
1日目はオープニングセレモニーの後に、こども家庭庁から行政説明がありました。
この4月にこども家庭庁が発足し、年内にこども大綱をまとめられるとのことで、基本的な方針やスケジュール等の共有がありました。基本的な方針については、こども家庭庁のサイトのこちらも参考になります。
「こどもまんなか」とは、これまで行政の縦割りがゆえ、別々に作成・推進されてきた施策等がこどもを中心に考えた(連携しやすい)組織編成になるということと理解しました。
またこどもの定義は、これから生まれてくる子から乳幼児期、学童期・思春期から成人をむかえ、また結婚や子育て当事者となる若い世代まで。ライフステージを通じて横断的な支援をしていくとのことです。人生の半分くらいは該当しますね。
以前、自治体の保健師(妊婦健診等を担当されている)から、思春期の児童にたいして、性教育として妊娠・出産、それから子育てについて伝えることの必要さを感じると言っていたことを思い出しました。
母子保健では、妊娠をきっかけに対象となりますが、それより手前も見過ごせないということかと思います。
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学会2日目のプログラムで、「高校生対象の共感性を高めるライフプラン教室の実施」(福島学院大学 渡邉 一代氏)の話を聴きました。
「ライフプラン教室」とは、高校1年生を対象に、思春期から成人期におこる特徴(身体的・精神的・社会的)等を伝え、ワークをまじえ、共感性を高めライフプランを建設的に考えていく授業です。学生からは、「自分ごととして出産・子育てを考えられた」「今の自分をみとめられるようになった」といったフィードバックがあり、虐待や望まない妊娠の予防につながると感じました。
現状では、学校を離れると、子を持つまでの間は、行政の関わりが比較的少ない期間です。この行政側がタッチしていない空白の期間も、これを機に予防的な取組が増えてくるのかもしれません。
学会とは別ですが、ある自治体の事業でLINEによる健康相談があり、そのなかに「生理(月経)の悩み相談」がありました。概要をみた限りは、女性の健康を目的としたものと思いますが、望まない妊娠を視野にいれた建付けもできそうだと、学会のあとふと思いました。
きずなメールも子ども虐待予防を目指した事業です。定期的にテキストメッセージを届けることで、読者(市民)とつながり、読者が必要になったときの接点になれれば、保健師等の直接支援を補う間接支援の機能も担えます。きずなメール事業にはアンケート、問い合わせ等の読者と接する機会もあるので、間接支援を意識したつくりを模索していきたいと思います。(了)