きずなメール・プロジェクト

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NPOと企業の違い~会計担当の目線を添えて~

2022年6月8日

Calculator with the word NON PROFIT on the display.

こんにちは。きずなメール・プロジェクトの吉嵜と申します。
団体内では主に会計担当として仕事をしております。

私は少し前まで一般企業の財務経理部門で働いておりました。企業でも行政でもないNPOという存在に興味があり、昨年からきずなメールの一員として活動に携わる機会を頂きました。

今回は、一般企業のサラリーマンからNPOスタッフに転身した体験を基に、NPOと企業の違いについて書いていきたいと思います。
私自身、色々と勉強中の身で恐縮ですが、会計担当の目線を添えつつ率直な感想をお伝えできればと思います。(私見も存分に含まれております)

目的の違い

企業の目的はビジネスによって社会課題を解決することだと思います。また、利益を追求し、納税というかたちで社会に貢献しています。企業はその性質上、利益を上げることが一つの正義です。私はこれまで数社の一般企業で働いてきましたが、やはり常に利益を出すことが念頭にありました。

一方で、NPOは自分たちが持っているリソースを活かして、より早くより多くの社会課題を解決することが目的です。非収益事業と収益事業を行っており、非収益事業には法人税等がかかりません。また、資金提供者に利益を還元する仕組み(株式会社でいうところの配当金)がありません。利益を出すことが正義とは言えず、不必要に資金を内部留保せずに社会のために資金と労力を放出することが正義と言えます。

競争と協働

企業には基本的に競争相手がいます。他社にどう勝つかが重要であり、その過程で素晴らしい製品やサービスが生まれていると思います。“敵”と“味方”が明確に存在する競争社会です。

一方で、NPOには“敵”が存在しません。(価値観の違いは多々あると思いますが…)例えば同じような事業をやっている団体が別にあったとしても、それは“敵”ではなく、同じ社会課題のために活動する同志のような存在で、協働すべき相手です。「どう勝つか?」ではなく「どう協働するか?」という考えになります。企業で働いていた身からすると、この考え方を自然とできるようにするのは中々難しく、未だに「どう勝つか?」と考えてしまいます。

財務会計的な違い

企業の財務会計では「どのように売上を上げて、利益を出したか」ということに重点が置かれます。売上と利益が重視されていると言えます。売上はどこの誰からどういう内容で得たものか?どのくらいの利益を残すことができたのか?といったことが分かりやすいように財務諸表が作成されます。

一方で、NPOの財務会計では「どのような収入があり、何に使ったのか」ということに重点が置かれます。収入と費用が重視されていると言えます。どのような財源があるのか?社会課題を解決するために得た資金をどのように使ったのか?といったことが分かりやすいように財務諸表が作成されます。

財務諸表の種類や呼び方も少し違っています。例えば、企業では「損益計算書」と「貸借対照表」ですが、NPOでは「活動計算書」と「貸借対照表」です。

それぞれの性質に合わせて、何を外部に報告すべきかが変わるというのは、会計担当として面白いポイントです。

まとめ

NPOと企業の違いについて、元一般企業のサラリーマンという立場から、実際にNPOで働いて思ったことを率直に書いてみました。NPOと企業はそれぞれ社会における役割が違うため、当然違いがあります。しかし、NPOであっても収益事業で利益を上げなければ活動を維持できなくなる可能性がありますし、企業であっても利益を追求するだけでは世間からそっぽを向かれる時代になっていると思います。本質的な役割の違いこそあれ、NPOと企業には似た部分も多く、お互いに学ぶ点があるというのが私の感想です。日本ではNPOの存在がまだ新しいものというイメージがあります。これからNPOと企業の両方を経験する人も増えていくのではないでしょうか。企業からNPO、NPOから企業というようにそれぞれの分野を今よりも気軽に行き来してキャリアを積めるような環境ができると、社会はもっと面白くなるのではないでしょうか。

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