きずなメール・プロジェクト

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【お知らせ】10年目のステートメント

2020年11月3日

代表の大島です。10年前の11月3日、妻と二人で「この日を設立日とする」と決め、団体として初めてのブログを書き、NPO法人きずなメール ・プロジェクトは始まりました。この節目の日に、これまでとこれからについて述べてみます。

初めてのブログは、次の言葉で結ばれています。

最初のスタート地点は、まず新しい命を送り出す妊婦さんに喜んでもらいたい。次にそれをサポートする人々にも喜んでもらいたい。その先には、僕自身が二人の子の父として、少しでもよりよい未来になってほしい、との想いも含まれています。

生まれたばかりの「きずなメール」サービスができることはまだほんの少しですが、僕は、小さな要素の組み合わせでも未来に大きな変化を与える「バタフライ効果」のよい面を信じています。まだ見る人の少ないブログだと思いますが、これからいいお付き合いができれば幸いです。
https://ameblo.jp/kizunamail/entry-11046706474.html

「バタフライ効果」はどうだったのでしょうか。

登録者は2020年9月末日現在で20万5619人。これが多いか少ないかは人によって異なるでしょう。登録してくださった方々の、新しい命が生まれること、親になること、その行動や気持ちの持ち方、まわりの大切な人々との関係づくりに何かしら役立てているなら、嬉しい限りです。

Missionに掲げた「孤育て予防」はどうでしょうか。読者アンケートや感想、お礼メッセージに寄せられる声から、「きずなメール」を読んでいて何かを思いとどまった、踏みとどまった方は少なからずいると判断できます。「エビデンス」というものが定量的数値だけでなく定性的事実も含むなら、「ありがとう」「励まされた」の言葉は今も届いて、団体の力の源になっています。ただ、社会全体を見ると、10年前もいまも、「孤育て」があります。それゆえに社会課題としても認識されてきました。「孤育て予防」は引き続き、多くの人々と取り組んでいく必要があります。

10年たった今、自分たちの取り組みを通して、「小さな要素の組み合わせでも、積み重なれば、理想とする価値を実現できる」と僕は変わらず信じています。それが「大きな変化」かどうか、現時点の僕にはわかりません。

ただ、「きずなメール」コンテンツを活用してくださる自治体や医療機関、企業、「きずなメール」コンテンツを一緒に制作する医師や栄養士等、専門家の方々、研究者、デザイナー、配信システム会社etc. きずなメール・プロジェクトが「協働」する方々は、確実に増えてきています。異なる立場でも協働する人や組織がひとつずつ増えていくことこそ、未来をポジティブに変化させていくことの表れではと思います。

始めた時、団体職員は僕と松本の2人でした。10年たった今、いろんな人が加わってくれて、15人になりました。それ以上の多くの人の共感と協力に支えられて、ここまで来くることができました。改めて感謝を捧げます。ありがとうございます。

* * *

未来の話をしましょう。これからの方向性として3つの視点を示します。

① 「孤育て」から「子育ち」へ

きずなメール ・プロジェクトは設立時から「孤育て予防」をMissionとしてきました。10年経った今、「孤育て」は社会課題として共通の認識ができつつあります。だとしたら僕らも、「孤育て予防」のmissionは保ちながらも、一歩進んだmissionを考え始めるべきではないか。こう考えたときに出会ったのが、“子育ち”という言葉でした。

日本では2016年、改正児童福祉法第一条に「児童の権利に関する条約に則り」という文言が組み入れられました。この改正は「保護対象としての子ども」から「権利主体としての子ども」への大転換と言われています。

「子育て」という言葉は、「保護対象としての子ども」をイメージさせます。「保護する」「守る」ことは大事ですが、日本の親世代は「子どもを保護して、健康に、正しく、賢く育てなければならない」「母親は愛情深く子どもに接しなければならない」という無言の社会的要請に緊張し、そして委縮しています。初めて親になった人間は「親」という役割に不慣れであり、ひとりの人間としても未熟です。にもかかわらず、親になった当事者自身も、子どもを正しく導いたり、無限の愛情を注ぐことをしなければと思い込んでしまう人が多い。僕と妻の子育ての場面場面を振り返っても、思い当たることは多い。落ち着いて考えると、僕らにできるのは、子ども自身の”育つ力”を支える、応援する、環境を整える、くらいではないでしょうか。

「子育て」=保護対象としての子ども=大人が子どもを守り導く
「子育ち」=権利主体としてしての子ども=大人は子どもの”育ち”を支える

「子どもの最善の利益」(the best interests of the child)を考慮する意味も込めて、「子育て」から「子育ち」へと、意識を少しずつ変化させてもよいのではと考えています。

②参加と協力

時間軸を横に斬った視点です。

きずなメール ・プロジェクトは事業性を重視するため有給職員を中心に事業拡大をめざして展開してきました。ですが非営利組織には「参加と協力」というスピリットがあります。10年を経た今、これを力強く推進していきます。

その一つの現れが、今年から始めた「サポーター制度」と「寄付」の募集です。きずなメール ・プロジェクトが実現したい社会に共感して下さる人々に、積極的に関わっていただきます。法律面から「参加と協力」を後押しする「認定NPO法人」の法人格取得にも挑戦します。

③ ゴーイング・コンサーン(going concern)

過去から未来へ、時間軸を縦に切った視点です。

非営利組織は「課題解決型」「価値創造型」に分けられます。「課題解決型」は課題を解決したら仕事が終わるので、設立時から「解散」を目指します。「価値創造型」は新しい価値を作り、その価値が次のやるべきことを導きます。

きずなメール ・プロジェクトは「価値創造型」です。僕が子どもを授かったときに「孤育て」という社会課題に出会い、その解決のために自分ができることをやることから始まりました。当時は情報をデリバリーする役割だと思っていましたが、今は「弱いきずな」として「ゆるやかにつながり続ける」という価値に変化しています。共感してくれた人々が集まり、協力しながら試行錯誤することで、今の形になりました。

企業の財務諸表が、継続を前提に作られる原則を「ゴーイング・コンサーン」(going concern)といいます。働く人の生活を担っているなら、止めるわけにはいかない。価値創造型のNPOにも当てはまります。

継続について考えることは、「きずなメール ・プロジェクトが生み出した価値や文化を、今いる僕らが、後から来てくれた人々にどう受け渡していくか」を問うことになります。10年目を機に、この問いを正面に出していきます。

* * *

期待が大きいAIも、ソースコードは英語と記号という「言葉と文字」で書かれています。僕らは「言葉と文字」のおかげで過去を知り未来を示し、今もあなたにこれを読んでもらうことができます。

団体設立時からの長期目標は

・「きずなメール」のような取り組みが、一般化すること/標準化すること。
・海外でも役立つこと。

この2つは当分変わらないと思います。その上で僕は想像します。僕らより後から生まれた人々が、その人らしい形の家族を築き、親や養育者になる下支えに「きずなメール」が活用されることを。アラビア語や中国語の「kizunamail」を作り、さらにその後に生まれた人がそれを読む光景を。

それは、新しい命の誕生に対し、社会全体から「おめでとう」の言葉があふれる世界であるはずです。地球の隅々までこんな社会になるよう、自分たちができることから、一緒にやっていきましょう。

これからもよろしくお願いいたします。

2020/11/3   大島由起雄

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