日本で最初のマタニティマーク「BABY in ME」 インタビュー③
シリーズ/妊婦さんを支える人々
日本で最初のマタニティマーク「BABY in ME」
村松純子さん インタビュー③
(全3回)
――大きく広がったBABY in MEのマタニティマークは、これまでにどれくらいの妊婦さんが身につけてくれたでしょうか。
正確な数字はわかりませんが、バッジやキーホルダーなどを合わせると10万個近くは出したのではないでしょうか? 年間約1万個出た年もあって、日本の妊婦さんは近年、年間約100万人ですから、その年に限れば100人に一人の方がBABY in MEのバッジを身につけてくれたかもしれませんね。
――活動を始めてからこれまで、社会のマタニティに関する意識はどのように変化してきたでしょうか。
とても大きく変化してきたと思います。2000年前後は、妊娠関連のHPや関連書籍、雑誌もまだ少なくて、妊婦といえばとにかく「ひらひら、ふわふわマタニティウェア」というイメージだけ。私の友人は「妊婦が着れるビジネスマタニティスーツとかあればいいのに」などしきりにいっていました。今はマタニティスーツもありますが。
男性のタイプも、当時はなんとなく「少し斜に構えているほうががカッコいい」という空気がありましたが、今はどちらかというと、家事も子育ても積極的にやる優しい男性のほうが好まれるイメージがあります。
こうした変化とともに、今は「いいことは、どんどんやったほうがいい。たとえ偽善といわれても、何もやらないより良い」といったムードも出てきているような気がします。やさしさの連鎖の最初の小さなキッカケにでもなれたら…という思いで始めましたので、最近のテレビのACジャパン(旧公共広告機構)の、電車の中で妊婦さんに席を譲ることをためらった高校生が、次におばあさんを助けるCMではないけれど、その時は他人に親切にできなくても、次にはそうするみたい方向に社会全体がなってきているのだとしたら、ちょっとうれしかったりします。
――ずっと個人で展開されていますが、例えば今後、会社やNPOなどの組織として展開される可能性は?
特に個人で活動することにこだわっているのではなく、私には本業があって、それが忙しくてそういうことを考えたり手続きしたりする時間がないからです(笑)。
ここ数年こそ「社会起業」といった考え方も出てきて、社会貢献と収益を両立させる試みが増えてきています。でも私が活動を始めた頃、こうした活動は「ボランティア」とか「NPO」という言葉しかなくて、それは少し違うような気がしていました。今にして思えば、BABY in MEは社会起業的なことを目指しているのかな、とも思っています。
BABY in MEは本当に多くの人たちに支えられて、応援していただいて広がってきたものなので、まずはこうした人々の想いに応える形で活動を続けていきたと思っています。
――ありがとうございました。
取材・構成/大島由起雄(きずなメール・プロジェクト)
BABY in ME(R)とBABY in MEマタニティバッジは、日本助産学会推薦、(社)日本助産師会東京都支部推奨。売上の一部は、聖路加看護大学に寄付し助産学の基礎研究に活用されています。
【参考】マタニティマークのパイオニア「BABY in ME」公式サイト
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