きずなメール・プロジェクト

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【抄録公開】「「弱いきずなでゆるやかにつながり続ける」~コロナ禍の乳幼児虐待予防のための新たなコミュニケーション設計」(一般社団法人日本子ども虐待防止学会第28回学術集会)

2025年11月10日

NPO 法人きずなメール・プロジェクト(東京都新宿区)は2022年12月、一般社団法人日本子ども虐待防止学会主催の第28回学術集会ふくおか大会(テーマ:こころをつなぐ)にて、「「弱いきずなでゆるやかにつながり続ける」~コロナ禍の乳幼児虐待予防のための新たなコミュニケーション設計」について口頭発表を行いました。
★発表の抄録を、同学会及び岡崎市の許諾を得て、以下公開いたします。★

 

「弱いきずなでゆるやかにつながり続ける」
~コロナ禍の乳幼児虐待予防のための
新たなコミュニケーション設計

【目的】
コロナ禍で、子育て家庭の孤立の「質」が変化している。「相談」は支援の柱だが、「誰かに相談する」行為の負担が大きい。そんな中、政府の「こども政策の新たな推進体制に関する基本方針」(2021年12月21日閣議決定)に「SNSを活用したプッシュ型の情報発信の充実」が入った。本研究は「相談」に継ぐ新たなコミュニケーション設計として、「プッシュ型情報発信」のテキストメッセージを「弱いきずな」として「ゆるやかにつながり続ける」ことによる乳幼児虐待予防の可能性を探る。

【方法】
本研究は、コミュニケーションを「具体的水準」(オブジェクトレベル)と「抽象的水準」(メタレベル)に分ける。「複数専門家によって制作監修されたテキストメッセージ」である「きずなメール」を愛知県岡崎市の「岡崎市すくすくメール」として同市の妊娠初期から3歳誕生日の養育者にプッシュ配信した。
「具体的水準」では養育者への適時的情報提供による知識提供と不安軽減を目指した。「抽象的水準」では養育者への過剰アクセスを自制し、「ゆるやかにつながり続けること」、アンケートは「調査」とともに「傾聴」「心情吐露」「広聴」機会とするコミュニケーション設計で事業実施。2021年8月時点の登録者2,313名にアンケート依頼し、計420名から回答を得た。

【結果】
開封率85.3%、満足度91.9%、「子育てに対する孤独感や不安がやわらいだ」35.1%(いずれも出産後)。「傾聴」「心情吐露」「広聴」を意図した回答者自身の孤独感等の質問も設定。33.7%が孤独感を感じ、「ひとり育児(孤育て)」「コロナ禍外出自粛」等の要因が明らかになった。

【考察】
「複数専門家によって制作監修されたテキストメッセージ」はそれ自体が読み手の不安軽減と知識向上につながる。「プッシュ型の情報発信」は「弱いきずなでつながり続けるセーフティネット」として「相談」に継ぐ新たなコミュニケーションとして、乳幼児虐待予防として機能する可能性がある。

 

わたしたちは、パンデミックなど子育て環境に影響を与える事象を踏まえつつ、「ひとり育児(孤育て)」に係る変化を捉えながら一人でも多くの方と「ゆるやかにつながり続ける」ための活動を、これからも続けてまいります。(了)

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